人事制度は 「評価シートづくり」 に始まり、「評価シートづくり」 に終わる !
8回シリーズの7回目です。
第7ステップ・・・・・・評価基準の決定
次に評価基準をつくります。
この評価基準は、運用段階(つまり評価実施段階)で一番問題が発生します。
100社中100社発生します。
何が問題かというと、評価できないのです。
具体的には、評価基準を5段階でつくるのですが、目標(期待成果)項目以外は全て文章です。
その文章に従い、第1次評価(本人評価) → 第2次評価(上司評価) を行うのですが、正しく評価されないのです。
最大の問題点は、評価基準の内容を日々の業務の状況で説明できないことです。
出来たとしても、評価者によって一致しません。
そのために、評価の最終決定ができず、社内発表どころか、本人にもフィードバックできないという事態すら発生します。
そのとき、文章の表現を分かりやすくしようと工夫するのですが上手くいきません。
分かりやすく表現しようというのは必ずしも間違いではないのですが、完全な解決ではありません。
本質的な解決方法は次の通りです。
社内の評価基準を統一することです。
評価シートに評価基準を記入しても評価の拠り所をつくったにすぎません。
まずは、この評価の拠り所を基に、まず経営陣が管理者の評価をするのです。
経営陣の中でも管理者の評価項目ごとの評価にはバラツキがあります。
そこで一度、徹底的に討議して、評価の統一を図るのです。
具体的な日常業務での事例を挙げて、
「このような場合には、我が社のこの評価項目は〇段階と評価する」
という具合に評価を一致させます。
次に、この結果を管理者一人ひとりにフィードバックします。
具体的な事例を挙げて本人に理解・納得させます。
そして次に、管理者全員に部下全員の評価をさせます。
どの管理者も自分の部下の評価をくしたいという傾向がありますから、
お互いにその点を質問させて、その根拠を日常業務の事例で説明させるのです。
このときは大激論になります。
しかし、このプロセスは絶対に必要です。
管理者同士の激論によって、今までバラバラだった評価基準が社内統一されることになります。
本当のところは管理者だって評価に自信がありません。
この大激論によって評価の社内統一が現実的に可能になります。
そのために、最初の評価基準は簡単にして欲しいのです。
その方が、討論はスムーズです。
細かくすると、言葉づかいの解釈に時間を取られてしまいます。
簡単な評価基準の例を挙げると次の通りです。
○一般社員の評価基準の目安
1点…努力が不十分であり問題が多いレベル
2点…努力はしているが期待以下のレベル
3点…社員の大半が達して欲しいレベル
4点…比較的優秀な社員が達しているレベル
5点…きわめて優秀であると判定できるレベル
○管理者の評価基準の目安
1点…管理者として最低限達して欲しいレベル
2点…管理者として多少不満が残るレベル
3点…管理者の大半が達して欲しいレベル
4点…比較的優秀な管理者が達しているレベル
5点…管理者として模範と考えられるレベル
この簡単な評価基準の段階から始めてください。
そして実際に仮評価を行って、それから具体的な評価基準内容にまとめる方が、より運用可能な評価基準になります。
これが出来上がるに従い、日常業務の中でも、上司はこの評価シートを基に指導教育が全社で統一できようになるのです。
仮評価の段階では相対評価に近くなりますが、全社統一基準ができ上がれば、絶対評価が可能になります。
この絶対評価にしないと部下は納得しません。
この評価の全社統一を、一般的な 「評価者訓練」 で行なおうとしてもできません。
また、他社のケーススタディでは100%無理です。
続きは、1月4日に掲載予定です。
社員を成長させる 「評価シートづくり」 の支援をいたします。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩