人材育成・組織づくりのヒント / お知らせ
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作成日:2013/06/16
人事制度づくりを成功させよう   2/6



 次に、最近企業で問題になっているのは、なぜ人事制度をつくるのかということが社員に説明されていないことです。

この目的を社内で説明せずに人事制度づくりを始めると、誤解が生じます。
それは、人事制度づくりは 「人件費を下げることを目的にしている」 と社員が考えることです。


現在、赤字企業の赤字になった原因の多くは、労働分配率の悪化です。
厳しい環境の中で、売上・粗利益が下がったにも関わらず人件費が固定化しているため、粗利益に対する人件費が上昇し、赤字になってしまったのです。

経営者の立場からすれば、人件費さえ圧縮すれば、利益の出る可能性があることはチョット分析すれば明らかです。
そのため、賃金引き下げの合理的な基準を成果主義制度に求めようとするのです。

この目的で導入すると、この制度構築の段階ですぐバレてしまい、制度構築の大きな阻害要因となります。
もともと人事制度の目的を誤解しているために、このようなことになっているのです。


人件費の問題は、評価と処遇が一致していないことです。
平均して人件費が多いとか少ないとかいうことではありません。

これは経営の問題であり、社員の問題ではありません。
社員の賃金に対する不満は 「評価と処遇が一致していないこと」 なのです。

そのため、人事制度づくりの目的は、この視点での問題解決としなければなりません。
つまり、社員の不満を解決することが目的となります。


  1.評価と処遇を一致させる
     高い評価を受けた社員は高い処遇にする。
     低い評価を受けた社員は低い処遇にする。

  2.高い評価の内容をオープンにする
     なぜ高い評価を受けたのか、
     その内容をオープンにして共有する。

  3.全員が高い評価になれるようにする
     高い評価を受けるための行動を実行する。
     また、上司は指導する。

  4.全員が高い評価を得る
     全員が高い評価を受けることにより、高い処遇を得る。
     結果として、高い業績が実現する


この人事制度づくりの最終目的は、全員が高い処遇になることです。
これは全ての企業のトップの願いであり、本音でしょう。

このトップの価値観に幹部・管理者は共感できなければなりません。
信じてもらわなければなりません。 
ここが鍵となります。


ある会社で次のようなことがありました。
社員数50人規模の会社です。

管理者8人で人事制度づくりを行っていました。
最後のまとめが出来上がり、いよいよ実行の段階になりました。

その段階で、8人の管理者全員が 「運用に反対」 したのです。
当時は労働分配率もかなり悪い状況で、一刻も早い改善が必要でした。

そのためか、管理者すら処遇の低下を恐れたのです。
その会社の社長は、反対する管理者を前に、静かに次のような話をしました。


「私は、ずっと社員の働きやすい環境をつくってきました。 しかし、人事制度づくりだけは遅れてしまいました。 そのために、こうして管理者の皆さんと一緒に人事制度づくりをしてきました。」

「目的は、全社員に働き甲斐のある会社と思ってもらえるような会社にすることです。 これから運用段階に入りますが、問題も発生するでしょう。 その時は皆さんと一緒に解決していきたいと思っています。 その気持ちは今も変わりません。」

「もし、どうしても人事制度の導入に反対というのであれば、私を信じてもらえない、ということでしょう。 私の考えについてきてもらえなければ、それも仕方のないことです。 全員やっぱり反対なら、私は1人でこの会社を一から始めるしかありません」


と、自分の言葉で想いと決意を述べたのです。
社員と共に会社を成長させたいという、強い思いがあったからこその発言でした。

人事制度づくりに反対する管理者が出るということはよくあることですが、全員というのは前代未聞です。

ところが、社長がそこまで社員のことを思ってくれているという気持ちを管理者が理解し、反対の手を下げたのです。

もちろん納得していない管理者もいたでしょう。
しかし、この事件を通じて管理者はトップの心情に改めて触れたようでした。

この会社はその後、管理者が全社員へ説明して回ったのでした。
その時の言葉は、「一緒にいい会社をつくろう。そして収入を増やそう」 だったと聞いています。


管理者は大きく成長したのです。
この事例のように、人事制度づくりは目的の理解が必要になります。

万が一、反対する管理者がいたら、膝を突き合わせて説明して欲しいのです。
間違っても処遇を下げることが目的ではないことを。



                              次号に続きます。


「人事制度の仕組みづくり」 業績向上の支援をいたします。
お気軽にご相談ください。


人事制度研究会/近藤経営労務事務所
          社会保険労務士
近藤 昌浩






 

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