人事制度づくりの目的が理解され、
「さあ、始めよう」 とする段階で、一般的には次の問題が生じます。
その人事制度づくりのミーティングの時間が取れないということです。
特に業績の厳しい会社は労働時間が増える傾向にあります。
本当なら労働時間は短くなるはずなのですが、実態は逆なのです。
そうなると人事制度づくりのためのプロジェクトミーティングの時間は、ますます取れなくなります。
少しでも売上を上げたいというのが本音なのです。
そんな場合は、次の助言をしています。
「部署別の会議は毎月やっているでしょう。その時間を有効に使ってください」 と。
例えば、営業会議は全ての企業で例外なく実施しています。
通常は何をやっているかというと、“大反省会” です。
何故、業績目標が達成しないのかの原因を追究する場所になっています。
そのため、目標達成できない社員またはチームが全員の前で反省することになるのです。
その内容を一度すべて議事録に載せてみると1つのことに気が付きます。
ほとんど内容は毎月同じです。
だから、翌月も同じです。
出席者の誰にも役立っていません。
営業部長がいくら大きな声を出しても、その効果は知れています。
役に立つ営業会議にしたいと出席者全員は感じています。
営業会議の重要な内容は3つあります。
A.業績評価の実施
B.達成管理(または重要業務)の振り返り
C.目標設定(目標見直し)
まずは業績評価です。
これは、次のことを明らかにすることです。
@ 業績目標1つひとつについて
A 誰が(個人またはチーム)
B 良かったのか、悪かったのか
これは、長い時間を必要としません。
誰が見ても明白です。
問題は次の点です。
もし会議の出席者が管理者であれば、達成管理と重要業務の振り返りを行います。
つまり、出席者が 「やった行動」 の振り返りです。
ここでは何をするかというと、
業績結果の 「良し悪し」 は何なのかをしっかりと分析します。
○業績が良かった
・管理者 ⇒ やるべき重要業務を部下全員にやらせた。
×業績が悪かった
・管理者 ⇒ やるべき重要業務をやりきらなかった。
もちろんのことですが、何(重要業務) をやれば業績目標が実現できるのかは、何らかの計画書で明確になっているはずです。
それをやりきったかどうかの差です。
時には、その計画書通りに行動しても成果が上がらないとすれば、計画書を見直せば良いだけのことです。
ところが、会議になると、この計画書のことはすっかり忘れて別の発言が中心になっています。
例えば、議長が業績の良かった出席者に質問します。
議長 : 「A君は先月も良かったですね。どうやって成果を上げたのですか」
A君 : 「何とか目標を達成しようとして本気で頑張りました」
議長 : 「その通り。 皆もA君のように真剣に目標達成に取り組んでほしい」
本人からは、心構えについての回答しか返ってきません。
これでは、成果の上がっていないのは真剣に取り組んでいないからだ、ということになります。
本当にそうでしょうか。
もし、真剣に取り組んでいない管理者や社員がいるなら、それは既に戦力外です。
この時期に限ったことではありません。
問題は、やる気ではなく、「どうやって成果を上げたら良いか」 なんです。
つまり、成果を上げる重要業務が具体的な内容で理解されているか、実行されているかということなのです。
場合によっては、経験上から 「私には私のやり方がある」 となっています。
だから成果が上がらないのです。
冷静に考えて欲しいと思います。
社員がやる気を出すときは、「成果が上がったとき」 なのです。
どんな優秀な社員でも成果が出ないときは意欲も萎えます。
意欲が喪失した社員に意欲を出せというのは、成果の低い人に成果を出せという位おかしな指導と言えます。
だから、議長は事前にこの成果の上がったチームまたは社員の重要業務を確認しておくのです。
会議当日ではいけません。
成果の上がった本人も、そこまで分析していない可能性があります。
或いは、分析が不得手の場合もあるでしょう。
事前に、その管理者や社員と成果の上がった理由を分析し、重要業務を明らかにしておいてください。
次号に続きます。
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新・人事制度研究会/近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩