人事制度の成長支援制度で成果を上げるためには、期待成果を明らかにしなければなりません。
そして管理者は、部下がその期待成果を上げるための重要業務(やるべきこと)は何かを明らかにし、その重要業務を完全遂行させることです。
人事制度で社員を成長させ、業績を向上させる秘訣はここにあります。
これが充分理解できたら、日常の管理行動で気をつけなければならないことがあります。
重要業務の追加です。
管理者は、常日頃から部下にやることを次から次へと命令、指示で 「あれもやりなさい。これもしなさい」 とやっています。
その実態は場当たり的であることすらあります。
そのことが却って重要業務の遂行時間を減少させています。
特に、成果の上がっていない社員に対しては、その傾向が強いようです。
これでは益々その社員の成果は上がらなくなるでしょう。
重要業務の追加は中止しなければなりません。
もちろん、経営環境は激動しています。
成果を上げる重要業務の優先順位を変更する可能性はあります。
その時は、人事制度プロジェクトメンバーを招集して、「成長シートの重要業務」 の入れ替えをすることです。
それから社内に発表するのです。
重要業務は追加ではなく、変更(つまり入れ替え)でなければいけません。
この点について、驚くべき事例があります。
ある会社で、成長シートの成果項目に 「粗利益率」 を入れるという変更をしました。
その際、管理者10人に目標粗利益率を実現させるための重要業務を各自発表してもらいました。
すると、何と12種類の重要業務が発表されたのです。
それを見た社長が、
「今まで会議等で言ってきた内容そのものですね」
と言いました。
そこで、
「この中で、目標粗利益率を実現するために最も重要な業務はどれか決めましょう」
と討議をしてもらいました。
ところが、1時間かかってもその優先順位が決まらないのです。
それぞれの管理者が自己主張するばかりで、全員の合意が得られないのです。
そこで宿題をお願いすることにしました。
「それでは、各自の重要業務を各部署で1ヵ月間実行してください」
「その結果としての目標粗利益率の実現度で、その重要業務の優先順位を決めます」。
各管理者は、意気揚々とそれぞれの職場へ戻っていきました。
その様子を見ながら社長は言いました。
「今までは、成果を上げるのは管理者の仕事だから手段は任せると言ってきました」。
「彼らは全員やる気はあるし、能力もあります。それで良いと思っていましたが、これがどんなに問題なのか分かりました」。
「手段によって成果の違いがあるのであれば、成果の上がるやり方(手段)を共有化することは企業力を高めることになりますね」。
この会社は、来月には目標粗利益を向上させる重要業務が決まります。
その月から、全社員が同じ重要業務を実行することになります。
この経営スピードが、これからの経営を左右することになるでしょう。
「人事制度の仕組みづくり」 で社員の成長と業績向上の支援をいたします。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩