目標管理をやっているのに、その目標が達成できないのでは目標管理を実施している意味がありません。
そう考え始めた会社が増えています。
実は、目標管理をやれば魔法のように目標が達成できると考えること自体が誤解です。
賃金制度を作り変えれば、人件費総額が減り、労働分配率が改善すると誤解しているのと同じです。
元々、黙っていては目標が達成できないから目標管理を実施するのです。
だから、普通は目標が達成できないのが通常であると考えるべきです。
問題は、目標達成率が低い理由が分からないことです。
その結果、管理者はその理由を 「やる気」 で説明しようとします。
目標達成率が低い社員は 「やる気」 がないと思ってしまうのです。
いつも話すのですが、「やる気」 は結果です。
成果が上がれば、やる気は出てきます。
何をやっても成果が出なければ、やる気は出てきません。
やっている行動の内容に問題があるのです。
そのため成果が出ないのです。
今の時代、過去の成功体験に頼っているようでは、その結果は火を見るよりも明らかです。
でも、本人は一所懸命やっているという意識があります。
つまり、意欲を持っていると思っているのです。
だから、「意欲がない」 と言われると、 「俺だって頑張っている」 と心の中で反発します。
こうなると上司と部下の間のコミュニケーションがとれなくなります。
部下にとって上司と呼べる人は、常に自分の行動を正しく把握して、より適切なアドバイスや指導をやってくれ、より高い結果を出しやすくしてくれる人です。
断じて言いますが、良い上司とは説教する人ではありません。
御社の管理者は、部下が目標を達成できるように的確に指導しているでしょうか。
社長としては心配です。
管理者に次のように聞いてみましょう。
「あなたの部下の〇〇さんは、今回の目標設定時の課題は何でしたか?」
これが答えられなければ、管理者は部下の指導はできません。
目標達成させようと部下に数多くのことを実行・行動させようとしても、それは逆効果です。
成果を上げるには 「やるべきこと」、つまり 「課題解決策」を 実行したときのみです。
これ以外にありません。
「鉄砲も数撃ちゃ当る」 と思っていないでしょうか。
これだと管理者は部下指導に時間を取られ、忙しいばかりで成果が上がりません。
そういう環境で目標設定すると目標が低くなります。
今年または今月の目標を設定する場面が来ると、平気で 「厳しい環境だから」 と言って目標を低く設定しようとします。
「なんと情けないことか」 と社長のため息が聞こえそうです。
これは特定の会社に限ったことではありません。
これが普通です。 社員も正常です。 異常なことではありません。
なぜなのかというと、高い目標を設定するのは自分の首を絞めることだからです。
高い目標を設定して、達成できそうもないときに言われる一言を社員は恐れています。
「自分で立てた目標だろう。何とかしろ」 と上司に言われます。
上司からの具体的なアドバイスは何もありません。
その経験を何年もしています。
その上司に対して、私は一言のアドバイスをします。
「部下の目標を達成させるのは上司の仕事です」
「目標を設定しただけで部下が目標達成できるのなら、上司は不要ですよね」
これに対して、最近はとんでもない答えが返ってきます。
「私は最初から、この目標は高すぎると思っていました。会社が割り振った目標なんですよ」
今度は会社の責任にするのです。
これでは何のための目標か分かりません。
目標管理をする目的が十分理解されていないのです。
次号に続く。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩