やっぱり、新規開拓の成功イメージを持てない社員は、訪問回数が少ないです。
通常であれば、その社員だけ呼んでロールプレイング(役割演技・営業訓練)をやり、
疑似体験量を増やせば良いのですが、上司は別のことを口にしたりします。
例えば、「もっと訪問数を増やせ」 と言うのです。
これが、私の恐れる結果管理です。
新規顧客が獲得できない言い訳は、トラックの荷台いっぱいになる程いくらでも出せます。
しかし、訪問数が少ないことはごまかせません。
「ごまかせない」 状態にして結果管理をすると、ウソの申告が始まります。
ある社員は、怒られた翌日からウソの訪問数を申告するようになりました。
それを聞いて、上司である営業所長は嬉しそうに言いました。
「君もやればできるじゃないか」
そして、小さな声でつぶやきました。
「やっぱりきちんとハッパをかけないと駄目なんだよなぁ」 と。
こういう管理者がいるから部下が駄目になるのです。
なぜなら、ウソの申告を続けていても、結局は何も解決しません。
成果もゼロです。
この所長は営業会議でとんちんかんの報告をすることになります。
「訪問数は、前の月より3倍増えました」
「もう少しトークの使い方が慣れれば、成果が出るはずです」
こうやって、1年間待っても成果はゼロだし、10年間待ってもゼロです。
大体、こんなウソはばれるものです。
いつか本当は訪問していないことが分かってしまいます。
そうすると、烈火のごとくこの所長は怒り出して、
「嘘をつくとはケシカラン」 とやり始め、
「明日から訪問の証拠に、必ず名刺をもらってこい」 と本末転倒の指示をします。
所長は自分のマネジメントの仕方が悪いことに気付いていません。
部下は本当のデータを出しても、上司が何の解決策もアドバイスしてくれないからウソをつくようになったのです。
当事務所にも、時々こういう哀れな営業社員が訪問してきます。
「こんにちは。営業の挨拶に来ました。当社のチラシを受け取って下さい」
「はい」
「お名刺いただけませんか。」
「名刺は渡せません」
「えー。名刺いただかないと訪問した証拠にならないんです」
「名刺をどうするんですか」
「上司に提出するんです」
こうやって管理を強化していくと、気が付かないうちに、名刺をもらうことが目的になってしまいます。
こうなると、ますます目標達成は遠くなります。
一方では、管理のための時間・作業量が増えます。
まったく良いことはありません。
達成管理では、
プロセス指導のための具体的なプロセス指標を決めて、
このデータを基に管理者が日々具体的な指導をすることです。
これが部下にとっては、ありがたい指導になります。
だから、本当の問題点をプロセス指標を通じて示してくれることになります。
それからが管理者の腕の見せ所となります。
次号は、業績評価についてです。
「人事制度の仕組みづくり」 で社員の成長と業績向上の支援をいたします。
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新・人事制度研究会/近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩