人事制度づくりのプロジェクトがスタートする段階の状況をお話します。
これから人事制度づくりに着手しようという会社は参考にしてください。
今までは、社長が先頭になって 「良い会社にする」 ということで陣頭指揮をとってきました。
いつもその状態でやってきましたから、社員の頭の中は 「良い会社にするのは社長の仕事」 となっています。
つまり、「私は良い会社で働くことが出来る」 と受動的な考え方になってしまうのです。
その状態の中で人事制度づくりのプロジェクトメンバーになり、『魅力ある会社にするためには』 ということを社員自らが考えようとするのですから、頭の中が混乱します。
今までは、その仕事は社長だけの仕事だったのに、今日からはそれを自分たちで考えようとするのですから当然かもしれません。
社内は混沌とした状態になります。
まず、社長が心配するのは、さまざまな不満が噴き出すのではないかということです。
はっきり言います。
不満が続出します。
耳の痛い話から、本当にくだらないと思えるような話まで、“出るわ出るわ” という状態になります。
ある社長は言っていました。
「こんなに社員のためにと思って経営してきたのに、どうして、そこまで言われなければ
いけないんだ」
人間は面白い動物だなと思うのは、そういう問題点を全部出し切ってしまうと、次に必ず出てくる言葉があります。
「そんなことばっかり言ってもしょうがないよ」
「とにかく、自分たちで出来ることから解決しないと、何も始まらないんじゃないかな」
これを “振り子の法則” と言います。
悪いことを出し切ってしまうと、次には、それを何とか解決しようという方向へ進むようになるのです。
先ほどのような発言が出てくると、事態は一挙に解決に向かって収束してきます。
方向性が見えてくるということです。
このプロジェクトの中で、問題点を整理し、一つひとつ解決策を考えてください。
社員の成長に関する問題は、これからの人事制度づくりで解決します。
人事制度づくりは経営課題の解決策です。
この最初のステップを通過しないで、人事制度づくりを始めると失敗します。
特に多い失敗事例は、「人事制度運用段階で問題が発生したので、運用をストップしました」 というものです。
そして、ストップさせると、二度と動き出すことはなく、その人事制度はお蔵入りとなります。
何でもそうですが、一度止まってしまったものを再度動かすのは、倍以上の力を必要とします。
今後は、問題のない人事制度をつくろうという意識になりますから、時間も莫大にかかります。
そもそも、問題のない人事制度は存在しません。
すべての人事制度に問題があるのです。
人事制度というのは、発生した問題を解決しながら、運用していくのです。
そのときの解決の方向性は、常に 「人事制度は社員を成長させる仕組みである」 ということです。
プロジェクトメンバーには、その解決が期待されています。
どんなことがあっても運用を諦めることはできません。
人事制度に取り組んでおられる経営者は、すべてこのことを経験してもらわねばなりません。
頭では分かっていても、この最初のステップは、悩みが多いことも確かです。
「人事制度の仕組みづくり」 で社員の成長と業績向上の支援をいたします。
お気軽にご相談ください。
新・人事制度研究会/近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩