前回は2階層の説明でした。
職能等級が1等級〜9等級になると、この組織が3階層になります。
〇一般職層
〇中堅職層
〇管理職層
この中堅職層も、評価シートの重要業務を決めることに苦労するようです。
大まかには、次のように捉えてください。
〇中堅職・・・プレーイングマネジャー
自分でも直接の成果を上げますが、
部下指導により全体成果を上げることも求められる職層です。
〇管理職・・・マネジャー
マネジメントにより、組織全体の成果を上げることを求められる職層です。
上記のように、中堅職になると、一般職にはなかった部下指導という評価要素が入ってくることになりますので、ご注意ください。
ここでもう1つ、等級制を導入していると次のような問題が発生します。
1つのケーススタディでご説明します。
このケースの場合は、職能等級が5〜6等級から営業所長を任命することになっています。
このような場合に、次のケースが発生します。
|
等 級 |
対 応 職 位 |
中 |
6 |
営業所長 |
5 |
営業所長 |
|
4 |
|
〇5等級であるが、営業所長に、まだ任命されていない A社員
〇5等級であり、営業所長に、任命されている B社員
この場合、どうしても営業所長用の評価シートが必要だと考えてしまいます。
つまり、中堅職用の評価シート1枚で A社員 と B社員 を評価できないと考えるのです。
しかし、ここで中堅職をこの考えで2枚の評価シートに分けると、次の問題が発生します。
〇中堅職の評価シートで評価された A社員の評価点数は、
高くなる傾向があります。
〇所長職の評価シートで評価された B社員の評価点数は、
低くなる傾向があります。
所長職に任命されたために低い評価点数になってしまうとすれば、社員が所長になるのをためらうケースが生じます。
そのため、所長職の成長シートはあえて作らず、中堅職の評価シートで統一します。
もちろん期待成果は、営業所全体の成果(売上・利益)も入っています。
その成果を実現するために5等級の社員には、同じ重要業務を実行してもらいます。
例えば、
〇部下指導・・・・・・という評価要素が入ります。
もし、組織上、上司と部下と関係がなく、問題があるのであれば、
〇社員指導・・・・・・とする工夫も必要です。
ここの中堅職の期待像である部署全体の成果をマネジメントによって実現させるということは、
役職についている、役職についていない、は問題ではありません。
そして、次の所長を任命する時には、この5等級の中で高い評価点数を獲得した社員の中から任命していくことになります。
この方が簡単で運用しやすいのです。
A社員(次期所長候補)でも、この中堅職の評価シートが期待像ですから、これに従って自己育成するでしょう。
営業所長の不在の時に、積極的に所長代行を行うようになります。
自分にとってチャンスと考えるからです。
その逆は、所長になってから、所長の業務(部下指導)をすれば良いと考える消極的な社員になることです。
これは小売業の店長職においても同様です。
どちらの評価シートが社員を成長させるでしょうか。
考えてください。
これが仕組みというものです。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩