ある経営者から次のような質問がありました。
「新賃金体系へ移行するときに、今までの資格手当はどうしたら良いか」
もともと私は、諸手当を減らすことを勧めています。
何故かというと、この諸手当の数が賃金体系を複雑化しているからです。
(問) 「どうやれば賃金は増えるの」
(答) 「諸手当を数多くもらうこと」
このような笑えない会話もあります。
これでは、評価を高めることが二の次になってしまいます。
どうしても、賃金を増やすなら、評価を高めることとしたいのです。
そのためには、評価によって増える成長給(職能給)の存在を大きくすることです。
しかし、この資格手当というのは、
〇 社内資格
〇 公的資格
と、その種類もさまざまです。
業界によっては公的資格がなければ、その業務を遂行できないというものもあります。
そこで、どの業界でもこの資格に対して資格手当を支給しています。
「〇〇資格を取得したら、〇〇〇円を資格手当として支給します」
これが一般的です。
ところが、この支給のやり方で進めていると、不思議な現象が発生します。
先輩や上司の中で、この資格を取っていない社員が増えてくるということです。
「やっぱり、手当の金額が少ないからかな」
そう考えて、資格手当の金額をアップするというケースも少なくありません。
これでは本末転倒な改善となります。
これは避けなければなりません。
では、これをどうやって問題解決するか。
それは、この資格取得を昇格の条件とすることです。
● 3等級 ⇒ 4等級に昇格する要件として、〇〇資格を取得していること
● 5等級 ⇒ 6等級に昇格する要件として、〇〇資格を取得していること
こんな内容の昇格要件にするのです。
昇格すれば、実際に成長給(職能給)が増えます。
また昇格すれば、係長や課長あるいは部長に昇進するかもしれません。
そうすれば、役職手当も増えることになるのですから、本人も真剣に学びます。
常に、仕組みのつくり方はこういうものです。
本人が 「頑張ろう」 と自然になるようにすることです。
決して、外側から無理に押し付けるものではありません。
手当という金銭のご褒美で意欲を引き出そうとするから、全てのことを手当で解決しようとすることになるのです。
これでは結果がどうなるかは見えていますよね。
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近藤経営労務事務所/新・人事制度研究会
社会保険労務士 近藤 昌浩