人材育成・組織づくりのヒント / お知らせ
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作成日:2016/09/01
事例から達成管理を学ぶ  その1



 達成管理について良く理解してもらうために事例で説明します。
自分の業種とは関係ないと考えずに読んでみてください。



【事例】
食品スーパー W社
(10店舗)の事例です。
過去においての達成管理は次の通りでした。



 ≪過去≫
毎朝、社長の大きな声の激励が店舗運営責任者である安倍部長へ飛んでいました。

   「部長、A店の売上達成率が低いけど、今月大丈夫か。 先月の競合店舗
    対策では、不充分なのか。 もう一度見直してくれよ。 E店は、売上が下
    がったまま横ばいだけれど、店長はやるべきことをやっているのか。 今
    日、確認が必要だなあ・・・」

具体的な指示・命令が毎日出ます。
その話がひと通り終わると、安倍部長は各店舗へ指導に出発です。 



店舗は活気があって、ますます業績が上がる気配すら感じます。
このやり方で30年間やってきたそうです。

ところが、最近は目標達成どころか、昨年対比割れの店舗が毎月2〜3店舗出てきました。
さて、この社長と安倍部長のやり取りだけで問題が見えなければなりません。

皆さんは問題点をいくつ発見できましたか?
私は5つの問題点を見つけました。



@   問題解決がそのときの都合
(言い方を変えれば、場当たり的)であり、本質
   的な解決ができない。
   そのため、1つの店舗の解決先はその店舗のみに有効となりがちで、
安倍
   部長のパフォーマンスは全社的に見るとかなり低いことです。 
   このまま、店舗を増やしていくと、間違いなく利益率が下がっていきます。


A   今のやり方を続けると、安倍部長は単なるメッセンジャーボーイになってし
   まいます。 
   創業社長には、カリスマ的な方が多く、幹部は一方的に指示命令を受け
   て、店舗に伝えるだけになります。

      「社長が、〇〇と言っていた」
   受ける側もワンパターンです。
  
      「わかりました」
   でも、何もわかっていません。 
  
   なぜなら、同じような問題が発生するからです。
   これを “モグラたたき管理法” と 呼んでいます。 

   ゲームセンターにある、あの 「モグラたたき」 を連想してください。 
   次から次へと出てくるモグラをたたき続けなければなりません。
 
   これが永遠に続くのです。 
   もう体力勝負ですね。 そのうち誰かが倒れます。



B   指導の結果が見えてこない。 
   業績を良くするための指導が有効だからといって、指導が上手に進んでい
   るかどうかを業績の向上の状況で判断しようとしても、無理があります。
 
   今日1日指導して業績が良くなることは、現実的に考えてもあり得ません。 
   ならば、毎日おなじ店舗へ指導に行くべきだ、となります。
 
   この頃になると安倍部長は 「体が店舗の数だけ欲しい」 とつぶやきます。 
   ないものねだりをするよりも、1つの体で指導できることを考えたいのです。

   企業発展のどの段階でも管理者がハードに仕事へ取り組まざるを得ないと
   きはあります。 
   その時は歯を食いしばって頑張るしかありません。 

   でもその時に、そのハードワークをしなくて済むという状態をつくることです。
    
(これを “踊り場構築法” と言います。 階段を1つ1つ作っていく方法です)。 

   このことを常に管理者に考えさせない会社は、いつも同じステージのままと
   なります。 

   それは年齢別構成表を見ると分かります。 
   30歳代後半から、40歳代前半の社員が少なくなっていることで分かります。
 
   社内で一番ハードワークに耐えられる年代の社員が、ここで力尽きて退社
   してしまうのです。 
   そのため、次のステージ
(踊り場)へ進めません。


C   安倍部長の指導内容に一貫性がないことです。 
   同じ店舗へ行くたびに、店長へ指導する内容が違っています。 

   前の問題も解決しないのに、次の問題解決策の提示です。
   この安倍部長から店長への問題解決策の提示は、一言で表現するなら 
      「やるべきこと」 の追加の指示命令です。 

   これを “日替弁当型指示命令” と呼びます。 
   そのため、店長の目の前には、「やるべきこと」 がうず高く積まれていきます。 

   そのうち、社長のお出ましとなります。
      「やる気あるのか」
   やる気は充分あります。
 
   でも、目の前に高く積み上げられた 「やるべきこと」 を、どれから着手して
       いったら良いのか分からない状態になっています。 

   よく言われるところの優先順位が分からなくなっているのです。 
   こういう時に、人間はどうなるかお分かりですか? 

   “何もしなくなる” のです。 
   手も足も出せない状態です。 分かりますか。 

   この店長は常に安倍部長から言われているでしょう。
      「これが一番重要なことだ。 優先して取り組め」 と。

   全部優先するということは、同時並行で実行するということです。 
   たぶん、人間の能力を超えています。
 
   こうなると、店舗はますます業績が悪化することになります。


D   最悪のパターンは、企業は組織的な運営ができなくなっていることです。 
   部下が上司の指示命令に従わない状態になってしまっているからです。 
   
   もちろん反発しているのではありません。 
   動けないのです。 

   もっとも、この店長の心には、ある邪悪な思いが生まれることもあります。
   「安倍部長が来たら、何も言わず、まず 『申し訳ありません』 と頭を下げよう。

   そして 『わかりました。すぐにやります』 と間髪入れず答え、スピーディに帰 
       ってもらおう」
   こんなことにでもなったらどうしましょう。



≪現在≫
そこで、達成管理の仕方を改善することにします。 
まず、達成管理の目的を確認しましょう。 

それは、部下の期待成果の実現です。 
達成管理が役立っていれば、部下の目標とする期待成果は実現できるということになります。
 
そのため、部下の目標が達成できなかった場合は、2つの原因があります。

  A.部下が重要業務(やるべきこと)をやり切らなかった。

  B.上司が部下に重要業務(やるべきこと)をやり切らせなかった

どちらか一方の原因ということはあり得ません。



そのため、業績評価の場で上司が一方的に部下を叱るのは、納得できません。
上司にも原因があるからです。

先ほどのB.の部分が達成管理です。
部下である社員に重要業務をやり切らせることが達成管理です。

当然ながら、この達成管理は毎日です。
この点で、あらゆる管理者から質問を受けます。

   「そんなこと毎日できません。 それでなくても忙しいのに・・・」

そのときの私の答えは決まっています。

   「いまやっていることは、止めてもいい。 いや、止めなければなりません。 
    少なく
ても、今やっていることの優先順位は低いのです」



何故こんなことを勝手にアドバイスできるか不思議に思われるかもしれませんが、よく考えれば簡単なことです。

『部下の成果を上げさせる』 ことが、管理者の最も優先すべき業務だからです。
その他の業務は、この業務より優先されることはありません。

では、この場合どのように達成管理をすれば良いのか検討しましょう。
このW社の場合、店長の期待成果の1つが売上高でした。

評価シート(成長シート)の中に 「売上高」 という評価要素が入っています。
この中の客単価の落ち込み(というより、店舗間のバラツキ)が大きくなっています。



その原因を分析すると、評価要素の中の重要業務である 「販売業務」 に問題がありそうです。

   「毎日、しっかり販売しているか」
こう言いたくなる状態の店舗もありました。

だから、安倍部長はこの店舗の店長に、
   「(事務室から)外へ出て、売り込め」 と指導しているのです。

「ハイ」 と言って、店内に出るのはいいけれど無意味に声を出すだけです。
   「いらっしゃいませ」

これは大切な接客用語ですが、この言葉の数を増やしても、今日の売上がグンと伸びることは保証できません。



ここでじっくり分析です。
「販売業務」 の差によって、店舗間の売上高の差が出ることは理解できました。

具体的に、現場の行動で言ったら、どんな違いがあるのか。
そこに商品ごとに売り方の違いがあることが分かりました。

   〇 A商品は上手に売っている

   〇 B商品は上手に売っていない

   〇 C商品はまあまあ

こんな具合ですが、これは店舗によって同じではないのです。
これは、店舗ごと部門間比較をすると、もっと顕著です。

この積み重ねが月間の売上高の差なのです。






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近藤経営労務事務所
社会保険労務士
近藤 昌浩

 




  
  

 

 

 

 

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