このプロセス指標を活用した達成管理を始めるにあたり、経営者には1つの不安があります。
「1つのプロセス指標を決めて、全社の中で一番高い数値を目標として行動していったら
最初の段階は全体の平均値がどんどん向上するのは分かる。 しかし、その平均値が
やがてその最高値に到達した時点で、達成管理は終了するのではないか」
このように考える経営者がいらっしゃるかもしれません。
ところが、
情報の共有化が進む段階で社員の仕事への考え方、取り組み方が変わってきます。
「〇〇をしただけで、プロセス指標が〇〇も変わるなら、〇〇をしたらもっとプロセス指標が
〇〇くらい向上するかもしれない」
これは、社員の受動的な仕事の取組み姿勢から能動的な仕事の取り組み姿勢に大きく変革していくことを意味します。
このように、あなたの会社の社員全員が、毎日、それぞれの現場で建設的に考えて行動していたらどうなるでしょう。
それは、今までのプロセス指標の最高値が毎日塗り替えられることを意味します。
そのときの社員はどのような顔をしているでしょうか。
生き生きしていますよね。
仕事を楽しんでいますよね。
このときの社員の頭の中は、
「いかにお客様に喜んでもらえるか(顧客満足主義)」 状態になっています。
「お客様を大事にしろ」 と100回言うより、このように働く環境をつくることです。仕事を楽しめる環境を作ることです。
気づくと、社内での会話にプロセス指標がバンバン出てきます。
フォーマルな場所は当然ながら、インフォーマルな場所でも出てくるようになります。
この状態になることを 「組織学習している」 といいます。
結果管理をしていては、絶対生まれない状態です。
さあ、この事例の食品スーパー W社は、もう次の段階へ進んでいます。
今では社内プロセス指標を向上させる好ましい競争状態です。
その優れたやり方が常にオープンにされていますから、イヤな雰囲気ではありません。
そこからもう一歩前へ進みます。
これはマズローの欲求5段階説の4段階 「社会的欲求」 から、
5段階 「自己実現の欲求」 への挑戦になります。
何をしているのか。
それは、各店舗がそれぞれ毎週チャレンジデーを設定して,
プロセス指標のアップに挑戦するのです。
その店舗の過去の売上高の最高値を塗り替えることへの挑戦です。
商品の売り方を変えることによって、
PI値(その2を参照のこと)を自分の力で向上させることが可能であることを経験し、
次は自己ベストへの挑戦です。
店舗によって、挑戦する曜日は違います。
水曜日だったり、金曜日だったり、日曜日だったりします。
小売店の場合のチャレンジデーは、一番来店客数が多い曜日がふさわしいです。
間違っても、客数の少ない日に挑戦してはいけません。
その理由は簡単です。
@ ボリューム陳列ができる ⇒ PI値が上がる
A 商品に動きが出る ⇒ PI値が上がる
B 店内に活気が生まれる ⇒ PI値が上がる
C 全社員が接客推奨ができる ⇒ PI値が上がる
D 社員のチャレンジ意欲が高まる ⇒ PI値が上がる
重点商品のPI値を向上させる工夫により、自部門の売上高へ挑戦するのです。
自分たちで考えて、業績を向上させようとする瞬間です。
その結果として、過去の売上高を超えた時に、大入りが出ます。
1人500円。
真っ赤な大入り袋にピカピカの500円玉が1個入っています。
対象は全従業員です。
正社員も、パートさんも、バイトさんも全員が大入り袋を受け取れます。
50人いても25,000円です。
バイトさんの中には、その大入り袋を大事に部屋に飾ってあるという人もいるそうです。
それを見て感動した母親が、近所の奥さんにそのチャレンジデーの来店をお願いしたというから、その効果のほどがお分かりでしょう。
ただ、1つ残念なことがあります。
あまり大入りが出るので税務署の指導で、所得として加算するようになってしまいました。
税務署も野暮なことをするものです。
「人事制度」 で、社員の成長 と 業績向上 の支援をいたします。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩