御社の職種別のプロセス指標はどこから見出したら良いか。
それは1つの例外もありません。
そのヒントは、評価シートの中にあります。
その職種の評価シートの期待成果の中で、
ウエートの高い評価要素を実現するための重要業務を見て下さい。
この重要業務の評価が全員5点なら、期待成果の評価は最高の5点になります。
御社は最高の業績になるということです。
そこで、その重要業務の遂行をプロセス管理するためのモノサシとして
プロセス指標を設計してください。
このプロセス指標の設計時は、次の仮説があります。
○プロセス指標のデータが良い ⇒ 成果が高い
○プロセス指標のデータが悪い ⇒ 優れた仕事の仕方で重要業務を遂行していない
⇒ 成果が低い
この仮説に基づいて、
○本人はプロセス指標が良くなるように行動し、
○上司は、プロセス指標が良くなるように指導するのです。
ここまで具体化すると、行動も指導も分かりやすくなっています。
だから実行できるのです。
○考えが変わる
○行動が変わる(⇒プロセス指標が変わる)
○結果が変わる(⇒業績が変わる)
○組織風土が変わる
もちろん、上司と部下のコミュニケーションは、このプロセス指標を使って下さい。
上司は部下を褒める(認める)ことが多くなってきます。
プロセス指標が少しでも向上してきたら、すぐに上司は褒めて下さい。
「良かったね。頑張ったね」
それを聞いて部下は自分の進むべき方向を確認するのです。
「よーし、明日もやるぞ」 こういう感じになります。
しかし、プロセス指標が少し変化したくらいでは、業績が大きく変化することは稀です。
上司は部下をプロセス指標を使って励まし続けて下さい。
このまま続けば、早晩大きな成果に結びつくことは疑いの余地はありません。
このとき、部下は動機づいた状態になっています。
つまり、やる気が出てきている状態と言えます。
これを内発的動機づけといいます。
いくら 「やれ」 と言われてもやらなかった社員が自ら進んで改善に邁進するようになるのです。
その効果に誰もが驚かれるでしょう。
この場合、1つだけ注意してもらいたいことがあります。
プロセス指標は、結果指標としては絶対使わないということです。
昨年、弊所は引っ越しました。
ある引っ越し専門の会社に依頼したのですが、
その会社の担当者は引っ越し終了時にアンケートの記入を依頼してきたのです。
そのときの一言は驚きの内容でした。
「このアンケートにお答え頂けませんか」
「もし、宜しければ、この5段階評価の5ところに○印を付けて頂ければ、
私の評価になりますので有難いです」
そう言って、目の前でアンケート用紙の記入をお願いします、というのです。
皆さんならこんな場合どうしますか。
問題があっても悪い評価はできません。
私は少し考えて、全ての項目の 「5」 に○印を付けて渡しました。
その時の担当者の嬉しそうな顔は、当日の引っ越し作業の中で最高の笑顔になっていました。
この引っ越し会社はとんでもないミスを犯しています。
全てのお客様アンケートはプロセス指標であることを忘れているのです。
私の想像ですが、アンケートの結果をストレートに評価とリンクしているのでしょう。
場合によっては、低い評価の社員を上司が呼んで叱るためのデータとしているのかもしれません。
そうなれば、社員は仕事の内容は別にして、
「どうやったらお客様に “5点” の評価をもらえるか」 の工夫だけに一生懸命になります。
やはりその担当者は、その仕掛けを持っていました。
私は変なところに感心してしまいました。
この会社は何が間違っていたのでしょう。
それはアンケートのデータはプロセス指標ですので、良い時も悪い時もあるということです。
どんなに顧客満足度の高い仕事をしたとしても、
お客様の立場で考えたら低い評価になることもあり得るのです。
そのとき、仕事をした本人がどこに問題があったか、
振り返られるようになっていなければなりません。
この場合、低い評価があることよりも、
低い評価になる仕事の仕方を誤解してやり続けることの方がもっと問題です。
だから、プロセス指標が低いからといって叱ってはいけません。
次からは嘘のデータが混ざって指導には使えなくなります。
管理者の重要業務は、部下指導です。
上司の指導によって部下が成長したときに、管理者は成長したことになります。
部下の成果度合いがプロセス指標でわかり、
それによる部下の成果の向上が、上司の期待成果です。
ところが、部下の成長度合をプロセス指標にすることはできません。
計測できません。
定量的評価はできても、定性的評価はできないのです。
その部下の成長を示すのがプロセス指標です。
部下のプロセス指標を変えることができたら、それはマネジメント力が向上したと言えます。
これさえ理解できれば管理者の問題点も解決策も分かります。
それは全ての管理者の仕事の違い(マネジメントの違い)により、
部下のプロセス指標の違いが生じることが分かるからです。
社外の管理者研修で管理者を学ばせる前にこの教育がないと、
一般的なマネジメント(単なる知識)の学びにしかなりません。
実践方法がイメージできずに未消化で終わってしまうのです。
人事制度」 で、社員の成長 と 業績向上 の支援をいたします。
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近藤経営労務事務所/新・人事制度研究会
社会保険労務士・人事コンサルタント 近藤 昌浩