正直に告白します。
私が訪問指導している顧問先で、一番苦労するのがこの評価基準づくりです。
成果を上げる重要業務は特定できても、
この重要業務の優れたやり方を明らかにすることは苦労します。
この優れた仕事の仕方を鮮明にすることが難しい理由は、たった1つです。
○成果を上げている優秀な社員に聞いても、
はっきりした答えが返ってこないことです。
(理由は様々ですが…)
○その上司である管理者に聞いても、
これまたその優れた仕事の仕方がハッキリしないのです。
(少々不安があります)
つまり、
会社の中で高い成果を上げている優秀な社員が、なぜ優秀なのかが分からないのです。
これがたった1つの理由です。
ここで、評価シートづくりをストップさせてしまう会社があります。
これはいけません。
評価シートがなければ評価できません。
評価できなければ、的確な指導はできません。
業績は向上できません。
それは困った、と思われるかもしれませんが、全然困ることはありません。
評価シートの重要業務の評価基準を次のようにつくってください。
5点 : その業務を他の模範となる優れたやり方で実行しており、
他の社員にも教えていた。
4点 : その業務をほぼ優れたやり方で実行していた。
3点 : その業務を実施していた
2点 : その業務をやったりやらなかったりしていた。
1点 : その業務をやっていなかった。
評価シートの重要業務区分の評価要素の評価基準は、これで統一させてください。
現在も評価がまとまらない方は、これで空欄を埋めてください。
5分くらいで記入は終わります。
「そんないい加減な。それでは自己評価も、上司評価もできないぞ」
いいえ、大丈夫です。
それは評価決定会議でその内容を確認してください。
ハッキリしない優れたやり方は 「只今不明」 としておきます。
これから、明らかにすればよいのです。
それくらいの完成度でスタートしてください。
そうしなければ、今日も社員を指導するときに、ひとつも具体的な指導ができません。
評価シートができない、評価基準ができないからと言って、
部下の指導を休むわけにはいかないのです。
そうお考えになりませんか。
人事制度は完璧につくってから導入するのではなく、
導入・運用しながら100%の品質を目指すのです。
最初に分かる範囲内(大体の品質)で始めて、徐々に品質の向上です。
この順序を間違えないでください。
「では、いつになったら、その 『優れた仕事のやり方』 が分かるのか」
この疑問にも、お答えしておかなければなりません。
それはプロセス指標を使って達成管理の中で判明します。
○プロセス指標が高い社員
○プロセス指標が低い社員
この違いが、まさにその 「仕事のやり方」 の違いを明らかにしてくれます。
このプロセス指標は、
基本的に毎日、報告されることになりますので、その違いは1週間以内に判明します。
いや、明らかにすべきです。
プロセス指標が高い社員に聞いてください。
上司 「君のこのプロセス指標は高いですが、どうしてこのように高いのですか?」
社員 『そうですか。私は毎日、同じように繰り返しているだけですけど…』
上司 「その毎日繰り返しやっていることを教えてください」
今日やったことを聞くのですから、答えをまとめるのにそんなに時間はかかりません。
その話を聞きながら、優れた仕事のやり方を分析してください。
「あ〜、これだな」 というところに行きつきます。
「(なぁ〜んだ)そういうことか」
※( )は、心の中でつぶやいてください。 決して口に出さないように。
同じ会社の社員がやっていることですから、
それを聞いて、開いた口がふさがらないほど驚くことは3%未満です。
そういうものです。
そういうことが、やられていないために成果が上がっていないのです。
これが実情です。
この分析の過程で多くの会社が気付きます。
成果の上がっていない社員に、成果を上げさせることは思ったほど難しくないと…
「やるべきことを優れたやり方で実施させる」
これだけです。
それによって、どのくらい全体的な成果が向上するか、想像に難くないでしょう。
だから、私は申し上げています。
「社員を成長させる仕組みをつくれば、業績は向上する」 と。
「人事制度」 で、社員の成長 と 業績向上 の支援をいたします。
お気軽にご相談ください。
近藤経営労務事務所
社会保険労務士・人事コンサルタント 近藤 昌浩