人材育成・組織づくりのヒント / お知らせ
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作成日:2018/02/16
生産性の評価でムダな残業を減らす



 今回は残業問題を取り上げます。

あなたの会社では残業に関する問題は発生していないでしょうか。
私は社会保険労務士ですから、毎月数件の残業に関する相談があります。

一朝一夕に解決できないこともありますが、
先送りできない問題ですので経営者等と一緒に考えています。



ある著名な方の書籍で、次のような内容がありました。

  「中小企業が大企業に勝つためには、労働時間の長さで勝たねばならない。
    定時間の労働では負けてしまう」

その通りと思えるところもありますが、賛成はできません。
残業の問題があるからです。



企業が雇用できる社員数は、
労働分配率を考えると理論上の人数が決まってしまいます。

忙しいからといって事業計画を無視して社員数を増やすことはできません。
どうしても一時期は、残業で補わざるを得ないのが実情です。



ところが、労働力というインプットと、
付加価値というインプットが比例しない、と思える状態になることがあります。

社員が一生懸命働いている様子に感謝しながらも、
残業した分のアウトプットが増えたようには見えません。

だからと言って 「無駄な残業はするな」 とも言えません。
そのような悩みを持つ経営者は多いと思います。



この悩みは、社員数が増えるようになると益々大きくなります。
全ての業種に共通しています。

この問題が発生する根本には、社員の評価(要素)に問題があります。



一昔前、
能力主義人事制度が流行した当時の評価シートには、次の評価要素がありました。

期待成果項目の評価要素に、

  @ 仕事の量

  A 仕事の質

というものがありました。



つまり、仕事の量が多くて、質が高い社員を評価するということです。

あなたの会社の社員を評価するとき、
この2つの評価要素が高い社員に対して、高い評価をしますか?

あなたはこの質問にどのようにお答えになりますか。
少しお考えください。



たぶん、多くの経営者は、「その通り、問題はないでしょう」 とお答えになると思います。
その結果、社員はどのように行動するようになるでしょうか。

私にはわかります。
ある顧問先の営業社員の一言がそれを表しています。

  「うちの社長は成果が上がっていないときは厳しく指導されますが、
   夜遅くまで残業していると 『お疲れさん』 と労をねぎらってくれます」

  「滅多に褒めてはもらえませんが、残業していると何か頑張りを認め
      てもらったような気がしてホッとします」

  「そのため、成果が上がらないときは仕事がなくても自然と定時で
   帰れないという雰囲気になってしまいます」



営業部門は不思議とこの傾向があります。
売上が減少すると残業が増える。

何かの法則の1つになりそうです。
それは、社員の仕事の量が多いことを評価する習慣があるからなのです。

仕事の量が成果の大きさと比例するのであれば、
仕事の量を評価するという考え方へ変更しなければなりません。

でも、本当にそうでしょうか。



仕事の質も同じです。
製造では常識ですが、製品の品質は決まっています。

それ以上でも、それ以下でもありません。
社員ひとり1人が勝手に品質を向上させてはいけないのです。

それを意識していないと、間違った評価をすることがあります。



例えば、会議の資料です。

何もそんなに膨大な資料は必要ないと心の中では思いながら、
「よくここまで準備してくれたね」 の一言が
相手には自分の仕事が評価されたという勘違いを生じさせます。

そして、その評価が一人歩きを始めるのです。



もし、社員が経営者の考える方向と違う方向へ育っているとしたら、
常日頃、何気なく話している一言が原因であるかもしれないと疑ってみる必要があります。

この残業も同様です。
最悪は、この残業をすることが当り前の組織風土になっているケースもあります。

このケースの場合は、根本的にその風土を変えるという取り組みをする必要があります。

   「残業を減らそう」

そのような経営方針では、解決できないことになります。



評価内容を見直すことから始めることになります。

もっとも期待成果の評価要素に 「残業時間」 を設定することは現実的ではありません。

   「好きで残業しているんじゃない。会社のためにやっている」

   「別にいいでしょう。残業手当をもらっている訳でもないし…」

そのように逆に社員から反論を受けそうです。



そのため、残業の問題を解決するには、1つの大前提を確認します。
残業問題は本音で解決すること

つまり、

  〇本当に必要な残業は、上司がそれを確認した上で残業すること

  ○残業手当の発生しないサービス残業もやめること

なのです。



この2つを厳守しない限りは解決しません。
残念なことに 「サービス残業」 は有難いと考えている間は、無駄な残業は減りません。

それは 「サービス残業」 は違法であるからという常識的なことではなく、
結果として、社員の仕事の生産性を下げていることが理由です。

なぜなら、サービス残業時間中は、上司の指示命令がなくなるからです。

 上司  「もう少し段取りを考えて仕事をしなさい」

 部下  「いいじゃないですか。別に残業代が欲しくてやっている訳ではありません」



恐ろしいことに、このような考えは通常の勤務時間帯にも芽を出してしまいます。

正規の勤務時間帯は生産性の高い仕事をして、
サービス残業中は生産性を考えずに仕事をする。

これは神業です。
あり得ません。

そのため、常にサービス残業があるとしたら、
その時間を含めた残業時間を減らすことを考えてください。



ますます増えてくる仕事の対策は、社員を増やす前に次の対策です。

 A.現状の社員数でこなすことの出来ない仕事を残業でこなす
               ⇓
 B.仕事の仕方の改善をして、現在の人数で所定労働時間内で仕事をこなす
               
この考えで生産性を高めるから、社員の業務処理能力が高まります



仕事の仕方を変えないで残業でこなすというやり方では、
組織全体の成果は限定されます。

どんなに頑張って残業で対応しても、
1日の残業時間は1日24時間の範囲内になります。

それ以上仕事が増えたら、本来なら有難いことなのに、拒否します。

   「これ以上は無理です」

今までのやり方では無理でしょうが、やり方を改善して可能にしなければならないのです。



そのためには、
評価シートの成果項目に、この生産性を評価する要素が入っていなければなりません。

この評価要素によって、
これからは仕事の量よりも、生産性の高いことを高く評価する
と宣言しなければなりません。

あなたの会社の評価シートには、この評価要素が入っていますか?





 「人事制度」 で、社員の成長 業績向上 の支援をいたします。
お気軽にご相談ください。

近藤経営労務事務所
社会保険労務士・人事コンサルタント
近藤 昌浩

 










 

 

 

 

 

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