人材育成・組織づくりのヒント / お知らせ
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作成日:2016/09/29
事例から達成管理を学ぶ  その2



 「事例から達成管理を学ぶ  その1」 の続きです。


 それでは、商品ごとに一番良い売り方を全店舗で共有化しよう、ということになりました。

その時のプロセス指標に使用したのがPI(ピーアイ)です。

 PI値
=購買点数÷購買客数
(来店客数のうち、商品を買われたお客様の数)×1,000



例えば、3,000人/日の購買客数のうち、A商品を100個お買上げ頂いたとすれば、

 PI値
= 100個 ÷ 3,000人 × 1,000 = 33.3 となります。

このPI値を使用することによって、
店舗の大小
(客数の多い少ない)という要素が除去できます。



具体的には、
ある1日の全店舗のA商品のPI値を比較すると、バラツキがあります。
これが、売り方の違い=販売業務のやり方の違いとなります

このために、どのくらいの差が生じるか、想像つきますか?
この会社の事例で説明します。

この食品スーパーW社の青果部門の9月度の売上高は、1億8380万円でした。
この9月にどのくらい機会損失(チャンスロス)が発生していたのか計算してみます。



その金額は、なんと3,712万円です。
それも青果部門だけです。

青果部門の売上構成比率から推測すると、
会社全体の機会損失は2億622万円になります。

この2億622万円は、本当は実売上高にすることができたのです。

何故こんなことになったのか。
それは、商品ごとの売り方の違いを全店舗で共有化しなかったからです。



もし、W社にこの全店の商品ごとの売り方の違いを把握し、
                                         毎日、全店に共有化するしくみがあったら…。

この情報の共有化はすごいですよ。
情報は、すでに我が社W社)にあるものです。

これはノウハウです。

そのノウハウを 「優れた方法」 として、
販売・陳列・商品づくり・販促・計画・POPごとの
優れた売り方を一覧表にして確認しました。



それを後で見た社長が、目を点にして言いました。
「こんなこと当り前のことだ」 と。

そうなんです。 当り前のことなのです。
それを 「当り前」 で片づけてしまうから、共有化できないのです。

「それは当り前のことだ」
そう言われたら、もう質問できません。



「どうすれば良いのですか?」
その言葉は飲み込んでしまうしかありません。

達成管理のポイントはそこにあります。
当り前のことをいかに徹底させるかです。



そこで、次の仕組みをつくりました。

 @ 各店舗のバイヤーが、1週間ごとの重点商品を10品目決めて、
   各店舗へ 『基本売価連絡シート
(自社で作成) で連絡します。

 A 各店舗の各部門の主任は、その商品ごとのPI値と、
   当日の売価を 『PI値報告シート
(自社で作成) に記入します。

 B 店長は、それを当日にFAXで商品部へ送ります。

 C 翌日、各バイヤーはそれを分析して、
  PI値の一番高い店舗の主任へ電話連絡し、
   売り方の違いを 『情報共有化シート
(自社で作成) にまとめます。

 D そのまとめを、商品部長が全店へFAXで流します。

 E その資料を基に、各主任は商品の売り方を改善し、
   店長は指導に活用します。

 F これを毎日実施します。



昨日の商品ごとの売り方の違いを確認し、
          今日は、全店で最も良い売り方を共有する。

このスピードが早ければ早いほど、店舗間の業績のバラツキは少なくなります。

それは全社の業績が向上することを意味します。



では、この食品スーパーW社の達成管理をまとめましょう。

 〇 店長は、毎日バイヤーから送られてくる情報を基に、
   その重点商品の売り方を指導し、
「やり切らせます」


その違いはハッキリしています。
そして、PI値の向上を確認して、褒めます

  「A商品を〇〇〇のやり方にして良かったね。 PI値が伸びたよ」

それは、上司から褒められるということは、やっぱり嬉しいものですよ。



この説明を聞いて、少し心配になってくる方もいると思います。
  「これじゃ、いつも受け身の主任にしてしまわないか。 自分で考えることは
    なくなるかもしれない」

ご心配は無用です。
こういう達成管理を実施してくると、社員は初めて気づくのです。

  「同じA商品でも、ちょっとした売り方の違いでPI値が大きく変わるんだな。
    では、さらに工夫をしたら、もっとの伸びるかもしれない」



自分で考えて実行する。 こうなるのです。
この場合、達成管理に使ったプロセス指標はPI値でした。

プロセス指標があれば、「やり切る」 ことにより、いつでも社員を褒められます。
そして、自立した社員に育て上げることができるのです。



◎ もう1つ、付け加えなければならないことがあります。

1つの店舗には組織上の上司(直属の上司は常に1人です)がいます。
社長、役員、店舗運営部長、商品部長、もう数え上げたらキリがありません。

その方々に、絶対守ってもらいたいことがあります。

それは、この事例であれば 「売上高」 ということに関しては、このプロセス指標を確認しながら褒めて欲しいのです。



  「店長、〇〇部門の〇〇商品、この1週間でPI値が1.5倍になったね。
   素晴らしいね」

  「主任、〇〇商品は、この1週間で1.5倍になったね。 〇〇という売り方が
   お客様に支持されたんだね」

今までは、単に 『頑張っている』 という抽象的な褒め方だったけれど、今は違います。



しっかりとPI値を使った褒め方ができます。
具体的なプロセスが褒められます。

そして、当り前のことを徹底させることです。
そして、その他の問題が発生していたらメモを取りましょう。

間違っても、そこで直接、現場の社員に指摘して解決するのはやめましょう。
問題があれば、その組織上の上司に伝えて解決するように指示するのです。



そうしないと、また以前の仕組みのない世界へ戻ってしまいます。
 
そして、そのメモを基に、また次の仕組みづくりへと進みましょう。

仕組みをつくっても、経営者や経営幹部がそれを気付かずに壊していることが、過去に何度もありました。

ご注意ください。





 「人事制度」 で、社員の成長 業績向上 の支援をいたします。
お気軽にご相談ください。

近藤経営労務事務所
社会保険労務士
近藤 昌浩

 




  
  

 

 

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