我が社の優秀な社員とは、どんな社員なの?
多くの中小企業の経営者が、「優秀な人が入社してこない」 と悩んでいます。
その理由について、「中小企業だから仕方がない」 と諦めていないでしょうか。
仮に、
中小企業だから優秀な社員を採用することができないのであれば、
いま日本にある大企業は存在していないことになります。
すべての大企業は、最初は中小企業だったからです。
中小企業でも、優秀な社員を採用する方法があります。
単にその方法を知らないだけです。
その最も有効な方法は、「優秀な社員像を可視化する」 ことです。
中小企業の場合、応募者が少ないからといって、求める社員の期待水準を下げてしまう
ことがしばしばあります。
そのバーを低くすればするほど、そのバーに合った人しか応募してこなくなります。
A社 「誰でもいいから来てください」
B社 「一緒に日本一を目指してくれる人を募集しています」
どちらのほうが働きたいと思うでしょうか。
優秀な人、目標を高く持って将来のことを考えている人なら、B社に応募したい、
高いバーを設定しているところに挑戦したいと思うのです。
このことが理解できたら、どのような人に入社して欲しいか、言葉にしてみてください。
いろんな期待像があるでしょう。
「成果が高い人」
「やるべきことをやってくれる人」
「知識・技術の取得レベルが高い人」
「好ましい勤務態度で仕事をしてくれる人」
……実はこれらをバラバラに言ったのでは不十分です。
「群盲象を撫でる」 という寓話があります。
象の一部分をいくら説明しても象がどんな生き物かわからないように、
「優秀な社員とは○○だ」 と断片的に話すだけで、具体的に全体像をイメージさせる
ことができなければ、優秀な社員を説明したことにはならないのです。
たとえば、「即戦力求む」 といった求人広告をよく見かけます。
この広告を見た瞬間に、
応募する人は、
「入社してすぐに力を発揮できる社員をこの会社は優秀な社員と考えている」
と推測するでしょう。
その言葉によってしか、求められている優秀さが分かりません。
だから即戦力を求めている会社でよく聞かれる、ある人事上の問題があります。
「成果は上げてくれるんだけど他の社員と協力関係が……」
「売上は高いんだけど、勝手に休んだり遅刻が多くて……」
そう、勤務態度・姿勢に問題があるということです。
しかし、「即戦力求む」 という募集をしている会社の経営者に
「成果さえ上げればどんな仕事の仕方でもかまいませんか?」
と訊くと、必ず首を横に振ります。
「高い成果を上げて欲しい。そして守るべき勤務態度を守って仕事をして欲しい」
ならば、
「高い成果を上げ、勤務態度をきちんと守る人を募集」 としなければならないのです。
「成果を上げる社員であれば、必ず勤務態度がいいだろう」 と考えるかもしれませんが、
それは錯覚です。
「勤務態度を守るなんて当たり前だ」 とも思われるでしょう。
しかし、当り前ではないのです。
言葉で伝えなければ分からないのです。
「私たちが求めている社員は、
○○という知識を持ち、
○○という技術を持ち、
○○という業務をして
○○の成果を上げる社員です。
そして○○の勤務態度を守る社員です。」
これならどうでしょうか。
その募集広告を見る人に、どんな人を優秀な社員だと思っているのか、
募集しているのかが一目瞭然です。
だからこそ、これに合う社員が必ず応募してきます。
この優秀な社員像を表すのに優れたツールがあります。
それが成長シートです。
実際に社内にいる優秀な社員を3つの要素でまとめるのです。
1.【成長要素】
優秀さを確かめるための項目
2.【ウェート】
それぞれの成長要素の重要度を数字で表したもの
3.【成長基準】
それぞれの成長要素についてどこまで成長したのかを、判断するための基準
この優秀な社員像は、会社ごとに違います。
1社たりとも同じことはありません。
経営者も、業態も、社員数も、期待する社員像も、同じ会社など存在しないのです。
ですから求める社員像は、経営者自身の言葉でまとめてください。
経営者自身の言葉でまとめなければ、
その会社で求めている社員が入ってくることはありません。
ここは十分注意をしてください。