社員の成長の正しい分析の仕方とは
社員の成長の正しい分析の仕方とは

社員の力がどう変化し、
組織力がどう変わってきたかを判断する


企業には4つの経営資源があるといわれています。
人・金・物・情報、この4つです。

この経営資源の活用如何によって、会社の業績は大きく変動することになります。
そのため、それぞれの資源活用の研究・開発をたゆまず進めてきているでしょう。



たとえば、経営資源の 「お金」 なら、キャッシュを常に活性化させることを考えます。

そのために不良在庫を撲滅したり、回収率を高めたり、その一方で余剰資金のリスクの少ない
短期投資をすることがあるかもしれません。



「物」 であれば、新商品の開発が常に行われています。

マーケットに適応する商品を常に開発する努力をしている企業が伸びてきました。
ピーター・ドラッカーの提案のように、新しいマーケットをつくり、それに適応する商品を開発する
ことも必要です。

たとえば昔のソニーのウォークマン、現在ではアップルのiPad等がそれに該当します。
決してその商品がなくてもよいところに、新しい商品をつくり一大マーケットをつくりあげました。

新しい商品で先行した企業は、当初は競争がなく、大きなマーケットシェアを独占して獲得する
ことが可能になります。
それによって当分の間、先行利益がその企業に舞い込むことになります。



また、経営資源の 「情報」 であれば、営業力の向上がその1つに該当するでしょう。

営業の仕方、営業組織の活用の仕方が上手になれば、当然お客様に喜んでもらうことができ、
愛用顧客をつくることができ、継続率も高めることができるからです。

それによって業績を向上させることができます。
企業はそのように資源活用状況を様々なデータで分析し、その結果を判断してきました。



ところが最も重要な資源である 「人」 はどうでしょうか。
人が元気になったことを判断することはできるでしょうか。

人が成長したということを判断することはできるでしょうか。
組織力が高まっていることを冷静に分析できるでしょうか。

これができなければ、社員を育成することはできません。
組織力を高める研修やまたは個々の力を向上させる指導教育の成否すら判断できないからです。



教育投資という言葉もあるように、社員の育成に莫大なお金をかけている会社もあるでしょう。

では、効果があったかどうか、判断することはできるでしょうか。
判断できないとすれば、それは無駄な投資だったことにも気づけません。

また、往々にして企業は、教育投資の結果を業績にストレートに関係付けて判断しようとしてきま
した。
業績は様々な要因が絡み合っています。

そのため、的確な判断はできません。
しかし、今でもほとんどの会社は業績で判断しようとしているでしょう。



ですが、私たちは人事制度を構築し、成長シートを作成しました。
優秀な社員をモデリングしてつくるのが成長シートです。

この成長シートを使えば、個々の力がどう変化し、または組織力がどう変わってきたかを判断する
ことができます。
その判断の方法は決して難しくありません。

成長シートで判断できることの1つ目は、パーソナルパワー、個々の社員の力です。
これが向上しているかどうかを見ることが可能になりました。



我が社の一般職層・中堅職層・管理職層の3階層ごとの社員の平均点を時系列で見ることによっ
てそれがわかります。
それが 「人的資源パワーアップ表」 です。

ただし、平均点を下降させる可能性のあるできごとがあります。
例えば、優秀な一般職の社員が中堅職にステップアップすることです。

これによって、一般職層と中堅職層の平均点が下がる可能性があります。
または新卒が入ってくるということです。



新卒はみな20点からスタートするということを考えれば、新卒採用によって平均点が下降するかも
しれないと予想できるでしょう。

そんな状況をすべて織り込みながら、各階層ごとの平均点数を毎年確認してください。

この平均点数を維持すること、場合によっては高めることができれば、我が社の1人ひとりの社員
のマンパワーが向上したことを知ることができます。



そしてもう1つは、階層ごとに1年間でアップした成長点数を見ることです。
これは社員1人当たりの平均アップ点数で把握することになります。

それぞれの会社に標準昇格年数というものがあります。
この年数から、各階層ごとの1年ごとの標準アップ成長点数が算出できます。



例えば、
一般職層のステップアップ(卒業)点数が 80点で、標準昇格年数が 8年だったとします。

スタートの点数は20点ですから、「80点 − 20点 = 60点」 で 60点が成長すべき点数となり
ます。

これを標準昇格年数で割ると、 60点 ÷ 8年 = 7.5点で、1年間の標準アップ点数は7.5点と
なります。



この1年間の標準アップ点数と、実際に一般職層でそれぞれの社員がどれだけ1年間で成長した
のかというアップ成長点数を比べてください。

これによって、標準どおりに成長しているのか、それとも標準よりも速いのか遅いのかということが
正確に分かります。

もちろん、一概に 「標準以下であるから問題である」 「標準以上であるから素晴らしい」 ということ
ではありません。



何かの個別の指導、教育ということが行われた結果、それがうまく機能しているかどうかを判断す
るデータとして活用してください。

これによって、よく経営者が心配する、「社員は成長しているのかどうか」 ということを、的確に判断
することができます。

成長点数を見れば、わが社は成長している方向性にあるのか、それともそうではないのかが一目
瞭然です。
これを時系列に並べれば、社員の成長度合いが分かってきます。



これも、その企業の事業そのものがライフサイクルの導入期にあるのか、成長期にあるのか、成
熟期、ましてや衰退期にあるのかということによって、この社員一人当たりの平均点数は大きく影
響を受けます。

成長期にあった企業が成熟期に移行していくことによって、1人当たりのアップする平均点数は、
徐々に少なくなっていくことに早期に気がつくでしょう。

これは経営者としては重要なデータです。

常に新しいマーケットに向かって経営戦略を立て、社員が成長しやすい環境を作り出していくた
めに、この成長点数から判断しなければなりません。



そして最後に組織力です。
この会社での組織力が向上しているかどうかを判断するデータです。

これは階層ごとの成長等級に何人社員がいるかということで組織力を判断することができます。
たとえば1等級にいる社員が1人であれば、1(等級) × 1(人) = 1(人財力ポイント) となり
ます。

2等級が1人であれば、2(等級) × 1(人) = 2(人財力ポイント) になります。

このように、等級ごとに何人の社員がいるかを調査して合計することによって、わが社の現在の
組織パワーを分析することができます。



社員が10人までの会社の場合は、社員のほとんどが一般職層の社員でしょう。
そして何人かが中堅職層にいるという段階です。

それぞれの社員が定着し、成長することにより、中堅職層の社員が徐々に増えます。
そして管理職層の社員が増えていくことによって、組織力がさらにアップしていきます。

この上位の成長等級へのステップアップについても、昇格するための成長点数をクリアし、昇格
年数をクリアした結果のステップアップです。



経営者としても、成長点数という昇格条件をクリアしていることが明確であれば、この合計点数を
我が社の組織力と見なすことに異論はないでしょう。

この成長点数が向上することによって、わが社が如何に組織力を高めていったのかを見ることが
できます。

5年、10年、15年と長期にわたって組織力が向上していることを、正しいデータで見ることができ
ます。
この組織力が向上していることを踏まえた上で事業拡大を計画しなければなりません。



これが向上していないにもかかわらず、事業拡大をすることは、その事業を支える人財力を無視
して事業拡大していることになりますので、突然組織が機能しなくなることがあります。

これは当然のことです。
多くの企業が組織力を判断できないまま、闇雲にマーケットを抱え込むべく事業拡大をしました。

そんな経営者から、「人が育っていなかった……」 と反省の言葉を聞くことがありますが、具体的
な解決策も見い出せていません。



しかし、私たちは今後、等級別にどれだけ人財が育ったかを見ることによって、その失敗を二度と
繰り返さなくて済むようになります。




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