御社の中の 「優れた仕事の仕方」 という宝物はなかなか見つかりません。
それは現在のマネジメントの仕方が障害になっているからです。
マネジメントの目的は、
その組織構成員の能力を向上させ、一致団結させて、組織の成果を最大限にすることです。
それゆえ、管理者はどうしても未達成のところに目が向きます。
日常の会話でも分かります。
例えば、営業所の中での営業所長の発言が、それを顕著に表しています。
〇成果の高い営業社員へは、「君の頑張りのお蔭で営業所全体の数字が良
くなっている。君だけが頼りだ。もう少し頑張ってくれ」
〇成果の低い営業社員へは、「どうしたんだ。全然成果が出ないじゃないか。
本気で取り組んでいるのか。何か問題があるのなら、相談しろよ」
これはまだ良い方で、最悪の場合、
成果の低い営業社員に対しては期待しない、という行動をとる営業所長もいます。
諦めに近い心境なのです。
これは一般的に言われる結果管理です。
〇結果良ければ全て良し
〇結果悪ければ全て悪し
管理者に対して、マネジメントの仕方を教えていない会社にも問題があります。
社員を管理職に昇進させるときに、説明をすべきことが説明されていないのです。
「君を今度、営業所長(管理者)に任命することになります。 営業所長になったら重要業務に 『部下指導』 が入ってきます。 この評価シート(成長シート)を見て下さい。 これは、成果の上がっていない社員の問題を見つけ出し、それを解決する指導によって部下を成長させることです。 これにより、営業所全体の成果を向上させてもらいます。 その指導のときに、事前に明らかにすべきことがあります」
「それは、優秀な営業社員の 『優れた営業方法』です。 今までの君の営業成果も素晴らしかった。 しかし、これからは君だけではなく、全ての営業社員の中から 『優れた営業方法』 を見つけ出し、それを所内に共有化させてください。 特に成果の上がらない社員へは、この指導が有効になります。 そして、その指導は具体的に分かりやすく行ってください。 これが今後の営業所長としての重要業務です。 それを了解した上で、営業所長を引き受けて欲しい。 君なら出来ると確信しています。 引き受けてくれますか?」
管理者任命時に、ここまで説明するべきなのです。
これを省略するから、次のような驚く発言をするのです。
「私の部下のA君は、指導しても無駄です」
「私の部下のB君は、私の言うことを聞きません」
成果のなかなか向上しない社員がいるから、管理者として営業所長が任命されたのです。
ここを誤解されたら困るのです。
全て優秀な営業社員で、全て同じように成果を上げるのであれば、管理者はいりません。
それを管理するために、管理職用の評価シートに 「部下指導」 の項目があるのです。
そして最初は、その 「部下指導」 の評価点は全員1点です。
成果の上がらない社員を指導して、
成果を上げるようになったら、その 「部下指導」 の評価点は、
1点→2点→3点→4点→5点 となってくるのです。
そのようにハッキリと伝えて下さい。
さて、まずは管理者になってから始めてもらう大事なことがあります。
それは、成果を上げる社員と、
成果の上がらない社員の 「仕事の仕方の違い」 を発見することです。
成果の違いは、すべて 「仕事の仕方の違い」 です。
経営者の中には、それは 「やる気」 の違いだと思われる方もいるでしょう。
それを否定はしません。
しかし、「やる気」 はどんな時に生まれるかご存知でしょう。
それは成果を上げたときですよね。
例えば、新しい成約を獲得したときです。
「やったー、次も頑張るぞー」 ということです。
これは内発的動機づけになります。
「次も頑張れ」 と上司から言われなくとも、自ら頑張ろうとするのです。
同じ社員でも成果が上がらないと、やる気を喪失してしまいます。
このことは、継続して優秀な社員であることを評価され、
管理者に任命された人には理解し難いことかもしれません。
しかし、これは真実です。
そのためには、この 「仕事の仕方の違い」 を明らかにして、
成果の上がらない社員を指導できるようにしなければなりません。
そのためには、常に部下の行動を確認(監視ではありません)し、
仕事の 「違い」 が見つけられるようにしてください。
通常は、「違い」 と言えば、結果の 「違い」 だけにしか目が向きません。
例えば、
〇売上高が高いとか、低いとか
〇利益率が高いたか、低いとか
この結果の違いを生み出す 「違い」 です。
これを見つけるのです。
この違いが御社の宝物です。
人事制度」 で、社員の成長 と 業績向上 の支援をいたします。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士・人事コンサルタント 近藤 昌浩