旬の特集
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文書作成日:2018/07/26

 2018年6月29日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)が成立し、2019年4月より順次施行されることとなりました。多くの企業に影響を及ぼす法律ですので、重要な項目を確認しておきましょう。


 労働基準法では、原則として1週間40時間、1日8時間という法定労働時間を超える労働を認めていません。ただし、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)を締結すること等により、法定労働時間を超える労働(時間外労働)をさせることできる仕組みとなっています。この36協定には、時間外労働が可能となる時間数を定める必要がありますが、これまで告示(※)による定めはあったものの、労働基準法においてこの時間外労働の上限時間数は設けられていませんでした。
 そして、今回、働き方改革関連法が成立し、告示から法律へ格上げとなる改正がされたことで、新たに時間外労働の上限が設けられました。その内容は以下のとおりです。

・時間外労働の上限を原則、1ヶ月45時間、1年360時間とする。
・原則の時間を超えるような特別の事情があるときは、時間外労働の時間数を延長することができる特別条項を設けることができるが、特別条項の上限は1年720時間、1ヶ月当たり100時間未満(休日労働含む)、2〜6ヶ月平均80時間以下(休日労働含む)を限度とする。

 ※「時間外労働の限度に関する基準」(平成10年労働省告示第154号)


 労働基準法では、勤続6ヶ月以上で全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、10労働日の年次有給休暇を付与することを義務付けています。付与された年次有給休暇は、原則として労働者が希望する日(時季)に取得できるとしていますが、年次有給休暇の取得率向上等のため、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、会社は毎年、5日の年次有給休暇を取得させる義務を負うことになりました。


 1.で確認したとおり、そもそも労働基準法は法定労働時間を超える労働は認められておらず、36協定の締結等の手順に従って労働させたときには、時間外労働について25%以上、休日労働について35%以上の割増賃金率で計算した割増賃金を支払う必要があります。この点に関し、2010年4月1日以降、1ヶ月60時間を超える時間外労働(以下、「月60時間超の時間外労働」という)については、割増賃金率を50%以上で計算し、支払うこととされていますが、中小企業についてはその適用が猶予されてきました。今回、労働基準法が改正されたことによって、現在、中小企業において適用が猶予されている月60時間超の時間外労働の割増賃金率が、2023年4月以降、全面的に適用されることとなりました。1ヶ月60時間を超える時間外労働がある中小企業では、人件費の負担が重くなるとともに、割増賃金率にあった勤怠集計方法に変更することが求められます。


 労働基準法では、法定労働時間を超える労働や、休日労働に対し割増賃金の支払いを義務付けていますが、一定以上の年収の支払いが見込まれる特定高度専門業務に従事する労働者については、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用の対象としない、いわゆる「高度プロフェッショナル制度」が創設されます。現状のところ、一定の年収の基準は1,075万円以上となる予定であり、制度を利用するときには年間104日以上の休日確保等、健康確保措置の実施が義務となります。


 始業時刻および終業時刻を労働者の裁量により決定できるフレックスタイム制は、柔軟で自律的な働き方として導入が進められてきました。今回、この制度に関しても見直しが行われ、現在、清算期間の上限が1ヶ月となっているものが、3ヶ月に見直されています。なお、1ヶ月を超える清算期間を設けるときには、労働基準監督署へ労使協定の届出が必要になるといった細かな要件が定められています。


 現在、正規社員(正社員)と非正規社員(パートタイマー、有期契約労働者、派遣労働者)の間に、不合理な待遇の格差がみられることが多くなっています。この格差を解消するために、個々の待遇ごとに、待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮することが求められます。なお、すでにガイドライン案として2017年12月20日に「同一労働同一賃金ガイドライン案」が公開されており、今後、これが正式にガイドラインとなる予定です。


 今回は、8つの法律改正をまとめて働き方改革関連法として法案提出され、成立しました。ここでとり上げた以外の項目についても影響のあることや、副業・兼業やテレワークの推進等、法律の改正とは別途、対応が進んでいる項目もあります。まずは自社の状況を分析し、必要な対応を進めるようにしましょう。

■参考リンク
厚生労働省 「「働き方改革」の実現に向けて」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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