人事制度は 「評価シートづくり」 に始まり、「評価シートづくり」 に終わる !
8回シリーズの2回目です。
評価シート作成には7つのステップがあります。
●第1ステップ・・・・・・職種の分類
社員が増えると様々な職種に分かれます。
例えば、営業職・製造職・事務職というように、従業員数が増えれば組織上の機能は分化していきます。
そして、それぞれの職種には目指してもらうべき期待像があります。
そのため、自社ではいくつの職種があるのかを明確にします。
基本的には、1つの職種に1枚の評価シートをつくることになります。
もう1つ付け加えることがあります。
社員が増えれば管理職という職種が増えることです。
営業職には、自らの力で売上等を上げて評価される一般社員がいます。
その一般社員を指導教育することによって、一般社員の売上等を向上させることで評価される管理職がいます。
そのため、営業職には一般社員用の評価シートと管理職用の成長シートの2種類が必要になります。
さらに従業員数が増えると、プレーイングマネージャー職用として中堅職用の評価シートも必要になってきます。
社員の増加に合わせて評価シートを随時追加することがポイントです。
●第2ステップ・・・・・・目標(成果)の決定
次に、その職種ごとに 「社員の期待像」 を明らかにします。
それぞれの職種ごとの目標(ゴール)を決めるのです。
まずは会社全体の経営目標を確認します。
従業員数が増えると組織運営を図るようになってきます。
その方が、会社全体の目標を達成しやすくなるからです。
〇〇部や〇〇課という名称がつくられるようになり、役割分担されます。
ところが、〇〇部や〇〇課はつくったけれど、具体的な目標を設定することは少ないのです。
「やるべき業務は分かっています」 と答える会社ですら、部署目標が明確にされ、全社で確認されている場合は極端に少なくなっています。
これでは組織運営上、責任範囲が不明瞭になり、協力体制がつくりづらくなります。
組織的な無駄も増えるし、責任の押し付け合いも生じます。
ましてや、他の部署の目標が分からないと 「自部署が一番大変だ」 と感じるようになったりします。
他部署に対する信頼や感謝の気持ちを失ってしまうのです。
ところで、この作業も具体的な数字目標を持っている部署にとっては難しくありません。
しかし、数字目標を持っていない部署があります。
事務管理部門の経理部・財務部・総務部・人事部などです。
多くの会社では、これらの部門目標を抽象的なものにしています。
例えば、
〇仕事の質
〇仕事の量
です。
目標(成果)項目としては理解できますが、評価できません。
仕事の質や仕事の量では 「成長基準」 が作成できないのです。
この目標項目については、あくまでも計測できるものでなければなりません。
その具体例は、次のようなものになります。
◎経理部・財務部
@キャッシュフロー
A回収率(回収は営業職だけではない)
B経常利益率
C自己資本比率
DROI(投資収益率) など
◎総務部・人事部
@定着率
A労働分配率
B売上高対人件費率
C1人当たり採用費
Dパート比率
E人時生産性 など
この目標項目を明らかにしておかないと、この部署の 「やるべき業務」 は決まりません。
ある製造業で 「設備稼働率」 という定番の目標項目がありました。
そのために多くの仕掛品・在庫を発生させ、そのうえ架空の利益を計上し、キャッシュフローを減少させていたことが明らかになりました。
つまり、目標項目が不適切であると、社員を間違った方向に向かって頑張らせることになるので注意しなければなりません。
次号に続く
続きは、10月16日に掲載予定です。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩