人事制度は 「評価シートづくり」 に始まり、「評価シートづくり」 に終わる !
8回シリーズの3回目です。
第3ステップ・・・・・・重要業務の決定
それぞれの職種ごとの 「やるべき業務」 つまり重要業務を明らかにします。
今は 「そりゃ、やることはたくさんあるよ」 という状態です。
その中から、
各職種ごとの目標を実現するために最も重要と考えられる業務を抽出します。
1つの目標項目に対して1〜3つ以内くらいが適当な数です。
このことを多くの会社に共通する内容で説明します。
目標項目に 「新規開拓件数」 があったとしましょう。
この場合の重要業務には何があるでしょうか。
例えば、次のようなものがあるとします。
〇新規開拓訪問活動
〇アフターフォロー
〇キーマン・ライトマン特定活動 など…
ある会社では、「新規開拓訪問活動」 を重要業務と決めました。
しかし、このままでは成長シートはつくれません。
なぜなら、新規開拓件数の多い優秀な社員も、
その件数の少ない社員も、新規開拓訪問活動は実施しているからです。
ここは大切なポイントになるので、詳しく説明しましょう。
新規開拓件数の多い社員は、
この新規開拓訪問活動における何か優れた方法を持っています。
それを発見しなければなりません。
つまり、簡単に言えば仕事の成果が上がるコツ(コンピテンシー) を明らかにするのです。
基本的には、管理者が部下である営業社員にヒアリングすることになります。
管理者が勝手に過去の成功体験をまとめてはいけません。
そして、この場合のヒアリングは指導ではないので、聴くという姿勢を忘れてはいけません。
アクティブ・リスニング(積極的傾聴法) が必要になります。
もちろん、本人に 「どこが優れていますか」 と聞いてもダメです。
大体、本人は当たり前のことをやっていると思っているからです。
聴く管理者も注意してヒアリングしなければなりません。
ごく一般的な内容であることのほうが断然多いからです。
このヒアリングの仕方を事例で示すと次のとおりです。
管理者 「君は新規開拓件数が多いね。 どんな行動しているの。 1日の行動を教えてよ」
社員 「毎日、訪問件数を決めて訪問しています。 以前は暇があったら新規訪問しようと思
っていましたが、それだとなかなか訪問が進まなくて…」
管理者 「ヘぇー。 訪問件数って、計画するとその通りできるものなの」
※ 間違っても、ここで 「そんなの当たり前だ」 と発言してはダメです。
社員 「今日は、4件新規訪問すると決めたら、1日の営業活動の中に埋め込んで計画する
ことになりますので、かえってやり易くなりました」
管理者 「訪問準備だって大変だろう」
社員 「それが、今は日常業務のようにルーチン化してしまいましたから、苦労も少なくなり
ました」
管理者 「日常業務かぁ。 すごいね。 その毎日の訪問件数は、いつ決めているの」
社員 「1週間ごとに決めています。 翌週の営業活動を見て訪問数を決めています。 この
シートがその計画書です」
管理者 「どれどれ、いやー、工夫しているね」
もし、新規開拓件数の少ない社員が、毎日、場当たり的に訪問しているとすれば、
この優秀な社員の 「1週間ごとの訪問計画を立て、毎日その訪問目標数を実施する」 ということは、新規開拓件数を増やすコツ(コンピテンシー) ということになります。
ここを押さえておかないと、成果の上がっていない社員から 「私も新規開拓活動しています」 という答えが返ってくることになります。
このようなことを防ぐため、評価シートの中の重要業務にプラスして 「定義づけ」 という項目をつくり、全社員に理解してもらうようにします。
例えば社員によって、重要業務である 「新規開拓活動」 の理解にばらつきが生じるからです。
だから、「新規開拓活動」 の 「定義づけ」 項目は、1週間ごとの訪問計画を立て、毎日、その訪問目標数を実施する、ということになります。
その方が、特に成果の上がっていない社員に自分の仕事との違いを鮮明にすることが可能だからです。
このように1つの目標項目ごとに重要業務を明らかにしていきます。
続きは、11月1日に掲載予定です。
社員を成長させる 「成長シートづくり」 の支援をいたします。
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新・人事制度研究会/近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩