人事制度を構築する上での 「賃金制度づくりの基本」 を
6回シリーズで具体的に説明します。
今回は、その2回目です。
次に問題なのは、賃金体系が複雑なことです。
例えば、評価で増える賃金項目が1つなら、全社員が分かりやすいでしょう。
ところが、さまざまな状況に合わせて、賃金支給項目を増やしてしまうのです。
ある1人の社員のための支給項目があったりします。
「あなただけ特別に…」 という項目です。
それはそれで、その支給項目をつくったときには意味があったのでしょう。
しかし、企業が成長していくうちに意味がなくなります。
よくあることです。
ところが、1度支給されたものは、いつか既得権となってしまっています。
社長も自分自身でよく分からなくなってきている場合も少なくありません。
これと実は同根ですが、さまざまな生活補助手当があります。
例えば、代表的なものに住宅手当、家族手当です。
なぜ、この手当を支給するのかご存知でしょうか。
一般的に多くの会社がこの支給項目を持っているから、右にならえで
支給しているのが実態です。
そもそも、住宅手当や家族手当は各社員のライフステージに合わせ、
生活費を補助する目的で支給したのです。
そのためか、かなり高額な金額を支給している会社が多いのです。
ある会社でこんなことがありました。
その会社は今期厳しい状態のため、定期昇給(年齢給・勤続給)をストップ
しました。
つまり、年齢給も勤続給も全員が昇給しなかったのです。
ところが、ある社員が結婚することになりました。
そのため、その社員の住宅手当と家族手当が新たに3万8千円増えました。
会社が厳しい状況でも、この手当が賃金規程にある限り、この社員だけ
支給額を減らす訳にはいかないのです。
その社員が優秀な成果を上げているなら他の社員も納得するでしょうが、
そうでなければかなりの問題が生じます。
「我が社は成果を上げるより結婚する方が賃金が上がる」 という笑えない
意見も出る始末です。
この点、大手企業はこの支給手当そのものを廃止したり、金額を大幅に縮小
してきています。
あなたもニュースで、何度か目に触れたことがあるでしょう。
もう生活を補助する手当の役割は終わったのです。
次号に続きます。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩