大手企業のおよそ8割は目標管理を導入していると言われています。
中小企業でも過半数は導入しているようです。
この目標管理制度を導入している企業で問題になっているのが、制度運用の形骸化です。
制度そのものは存在していますが、中身のないものになっているのです。
その最大の問題点は、実は人事制度とかなり関係があります。
それは、人事評価シートの成果項目に 「目標達成率」 が入っていることです。
もし、御社の人事評価シートに、
この 「目標達成率」 が入っていたら、すぐに削除しなければなりません。
これから、その理由と対策を説明したいと思います。
まずはその理由からです。
この目標管理制度は、ピーター・ドラッカーの 「現代の経営」 により日本に紹介され、昭和40年頃から多くの企業で取り入れられるようになりました。
元来、この目標管理制度上の目標とは、社員1人ひとりが自らの可能性に向かって自己設定し、自らチャレンジする制度です。
管理者はあくまでも、それを支援するという考え方です。
ところが、目標の割り振りということが日常化しています。
すでに、自己の目標とはなってはいません。
「割り振り」 というのは、予算設定のときに使います。
予算とは、企業が存続発展するために必要な利益から積み上げて、売上等を算定するものです。
予算売上高と目標売上高とは、その算定の目的も方法も異なるのです。
間違っても混同してはいけません。
自分の考え、意思も反映されていない予算を一方的に目標だと言って、割り振りされたものは、最初から目標としての意味を失っています。
それなのに、「目標達成率」 としての評価をしたら、納得しないままの評価となります。
上司が目標管理制度上の達成管理をしても、コミュニケーションは一方的になりがちです。
部下も単に目標の高さを嘆くだけです。
そこには、目標を達成するための工夫・改善のアイディアは生じません。
場合によっては、最初から諦めているかもしれません。
そして、この目標達成率評価をすると、例外なく2年目からは、
○ 目標を下げようとする部下
○ 目標を上げさせようとする上司
の激しいやりとりになります。
少し考えればわかることですが、目標を設定する部下が自分にとってチャレンジングな高い目標を設定したら、目標達成率が100%になる可能性は低くなります。
一方で、最初から実現可能な低い目標を設定すれば、目標達成率が100%になる可能性は高くなります。
具体的に次のケースで見てみましょう。
次回に続きます。
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新・人事制度研究会/近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩