マネジメント能力の向上は、企業の存続・発展を左右する大きな要因です。
現在、社員数が10人以上、または、これから10人以上へと社員数を増やそうとしている企業にとっては、このテーマは永遠のテーマとも言えることです。
社員数10人以上の規模において社員の成長が遅いのは、管理者のマネジメント能力の低さであることが多いです。
その結果、社員の業績向上が低くなります。
そのために、あらゆる企業で管理者研修へ管理者を参加させ、その能力向上を図ろうとしています。
しかし、目に見えてその効果があるとは思えません。
特に今の時代には、その傾向が顕著だと思えて仕方がありません。
この時代はマネジメント能力が発揮しづらいのだろうかとも考えてしまいます。
でも、そう結論づける前に少し考えてみましょう。
昔は本当に管理者がマネジメント能力を発揮していたのでしょうか。
マネジメント能力の低下というのであれば、それを示す証拠が必要ですが、それはたぶん見当たらないでしょう。
それが分かれば手の打ちようもあるのですが…。
ある会社で、管理者のマネジメント能力に疑問を持った社長が管理者に質問しました。
「君の部下のA君は、最近、業績が低迷している。ここ数ヵ月はその落ち込
みが大きい。君はどんな指導をしているのか」。
社長はA君の問題点やそれにどのように対処しているのか、その解決方法や、上司の指導内容が答えとして返ってくると思っていました。
しかし、その答えは耳を疑うものでした。
「A君はダメです。何を言っても無駄ですよ。まったくヤル気はないし…。
人事部ももっとマシな社員を採用して欲しいものですよ。私たちは苦労さ
せられ通しです。他の部署へ回して下さい…」。
その社長は、最初は黙って聞いていましたが、もう途中で我慢できなくなって話をさえぎりました。
「そういう社員を指導するのが君の仕事だろう。君の指導の必要のない優
秀な社員だけだったら、管理者はいらない」。
そう言われても、管理者はその意味が良く理解できません。
「ヤル気」 のない社員の存在自体が理解できない場合が多いのです。
それは、管理者の任命の理由を考えれば分かります。
全ての会社に共通することですが、管理者に任命される社員は、現場で優秀な成果を上げている社員です。
組織の法則である2:6:2でいうと、間違いなく上位の2割の社員です。
それもトップ層の社員です。
常に成果を上げるために、自ら工夫改善を積み重ね、成果を上げてきました。
このトップ層は、管理者の指導がほとんど必要ありません。
それ程に優秀だったから、管理者に任命されたのです。
その管理者から見ると、なぜ成果が上がらないのか不思議で仕方がないのです。
世間で言う、「名選手、必ずしも名監督にあらず」 です。
この優秀社員を管理者に任命するときには、マネジメントスキルよりも管理者の重要業務についての説明が必要なのです。
そう、社長の 「管理者に対する期待像」 を理解させることが重要です。
@ 期待成果
成果の上がっていない社員の成果を上げること。つまり、部下の成果の向上です。
A 重要業務
成果の上がっていない社員の指導教育です。
B 知識・技術
マネジメントスキルです。
C 勤務態度
使命感です。
この@→A→B→Cの順序で説明して、その優秀社員から 「ぜひ、そのヤリガイのある管理者にさせてください」 と言ってもらってから、任命することが大事です。
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新・人事制度研究会/近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩