経営者は社員の教育訓練は、社員を成長させるために必要不可欠なものと考えています。
このことは、どなたも多分、異論はないでしょう。
しかし、教育訓練を上手に行っている会社と、上手に行っていない会社の違いはあります。
その違いを説明しましょう。
2つの視点があります。
@教育訓練を効果的に行っているか
A教育訓練の費用対効果
まず、教育訓練を効果的に行っているか、ということです。
つまり、教育訓練を実施することにより、
その受講者の成果が、受講前よりも向上しているか、
ということです。
もちろん、教育訓練は短期的な効果を狙ったものと、中・長期的な効果を狙ったものがあります。
しかし、どちらであっても効果は測定できなければなりません。
では、効果的な教育訓練にするためには、どのようなことを考えることが必要かということを確認します。
その教育訓練は、
どのような効果を上げるためのものであるかという位置づけを最初にすることです。
企業で行う教育訓練は、すべて、社員の成果を向上させることを目的として行っています。
例外は1つもありません。
これが明確になっていないと、
「あまり、出席したいと思いません」
という発言が出たりします。
つまり、教育訓練の実行責任者と 受講者である社員には、かくもギャップが存在するのです。
そこで、教育訓練の内容について、明確にします。
それは2つあります。
・重要業務のやり方の教育訓練
・知識・技術の習得の教育訓練
しばしば、教育訓練担当の責任者の方から、
「どのような教育訓練が良いですか?」
と質問を受けますが、答えは簡単です。
「現在の社員の成果を向上させるために不足している重要業務のやり方と、
知識・技術の習得促進の2つです」
このように答えると、教育訓練の担当者はキョトンとした顔をします。
しかし、評価シートのある会社なら、何も悩む必要がないのです。
評価シートの中に、今年の教育訓練テーマが記載されているからです。
この評価シートを運用していれば、社員は、
・重要業務
・知識・技術
を評価されることが分かっていますから、
「何とか、評価を高めたい」
と考えます。
このように教育訓練テーマとして、最初から存在しています。
「今日の教育訓練は、評価シートの中の○○商品知識について行います」
と言ったら、一挙に手が上がります。
受講希望者も必死です。
「何とか受講させてください」
この考え方にさせるかどうかで、教育訓練の効果は月とスッポンほどの差が出ます。
その教育訓練の会場で居眠りする社員なんか考えられません。
自分のための教育訓練ですから。
もちろん、これはOJTであろうと、Off -JTだろうと同じです。
次に、教育訓練の費用対効果(コストパフォーマンス)です。
企業において支出される費用は、何らかの形で収益として獲得されなければならないことは当り前であり、ご承知のことでしょう。
しかし、教育訓練は最初に予算ありきであり、通常、それを検討する場がありません。
そのために、無駄な費用を投入しても気がつかない場合もあります。
では、一番、費用対効果の高い教育訓練は何かを考えてみましょう。
それは、社内講師による教育訓練です。
これが一番です。
社内講師、つまり、社員が講師になるのです。
優秀な社員が講師です。
その優秀な社員はもちろん成果の高い社員ですが、当然ながら
・重要業務の遂行度
・知識・技術の習得度
も高いです。
その内容を説明させるのです。
これには、2つの目的があります。
・1つは、他の社員にやる気を持たせる。
「彼が出来るなら、自分にも出来るはずだ」
・もう1つは、社内に共有化させる場をつくる。
「成功事例は直接本人から聞いた方が良い」
就業時間内の実施であれば、講師料もいりません。
会場も特別に用意する必要はありません。
教育訓練関係費用は限りなく、0円に近いのです。
しかし、その効果は想像以上に高くなります。
評価シートを運用していれば、誰が講師にふさわしいか一目瞭然です。
そして、社外の教育訓練に派遣する場合は、社内で講師をする程度に高い成果を出している高い能力の社員に限定して下さい。
教育訓練は投資です。
特に社外の教育訓練を受講させる社員は、選抜者に限定すべきです。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩