作成日:2015/05/01
【Q】 業績が厳しくボーナスを支給しなかった。評価することに意味があるのか?
人事制度の本当の役割を誤解している経営者が多いようです。
セミナーを実施するとさまざまな質問があり、
人事制度について誤解をしていることが良く分かります。
その中での質問を紹介し、それに対しての答えを述べます。
【質問】
今回は業績が厳しくボーナスを支給しなかった。
評価することに意味があるのか?
【答】
評価することの目的は、
賞与を配分する基準を決めるためのものではありません。
ボーナスの支給を増やす(=業績を向上させる)ために評価するのです。
もしも、賞与配分を決めるために評価することが目的であれば、
全社員が現状より高く本人評価(1次評価)するのは分かり切っています。
そのため、経営者は評価結果があまり役に立たないと考えるようになってしまいます。
そうなると、評価するのは参考資料にすぎません。
いや、参考にもならないかもしれません。
せっかく、評価制度を持っていながら、役に立つようには運用されなくなります。
そこで、再確認しておきたいのが、評価の本来の目的です。
それは、
〇現在の社員が、出来ていることを認めて褒め、
〇現在の社員が、出来ていないことを叱り、
〇これから、上司が指導(社員自身の自己育成)すべきところを確認する
ためです。
将来が対象であり、過去は確認にすぎません。
例えば、
質問のように業績が良くないとすれば、評価の低い社員が多かったということです。
そんな状況で、経営者として一番やらねばならないことは、
組織に負け犬根性を持たせないことです。
「今年も、こんなに頑張ったのにボーナスが出ない。 もしかしたら、次回も……」
社員がこんな考えをもったら、もうすでに負けです。
その時に、経営者は宣言すべきなのです。
「次回は、賞与が出るように業績を向上させよう」
そして、そのために、
成長シート(評価シート)による評価結果から、
“何ができていなかったのか” を明確にして発表するのです。
会社全体の業績が良くなかったときは、
社員の成長シート(評価シート)は、次の傾向になっています。
〇期待成果 …… 全体的に低い
〇重要業務 …… やるべきことがやり切れていない
〇知識技術 …… 習得すべき知識・技術が習得されていない
〇勤務態度 …… 好ましい勤務態度ではない
このように、業績が良くないことには理由があるのです。
抽象的に 「頑張れ」 では意味がありません。
社員ごとに
成長シート(評価シート)を使って徹底的に指導する、
という経営者の厳しさが必要な時代と考えることです。
「人事制度」 で、社員の成長 と 業績向上の支援をいたします。
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近藤経営労務事務所/新・人事制度研究会
社会保険労務士 近藤 昌浩