「これで、評価シートはいいだろうか」
多大な時間をかけ、どんなに苦労して評価シートを作成しても、
評価シートが上手に出来上がったのかどうかの判断は難しいものです。
正解がないことがその理由です。
これでは、達成感が感じられません。
何かすっきりしません。
そこで、評価シートが完成したら、
次の手順で、その評価シートの完成度を自己判定して下さい。
手順1.仮評価の実施
通常、評価制度の運用では、評価は次の手順で実行されます。
● 本人評価(1次評価) ⇒ 上司評価(2次評価) ⇒ 評価決定会議(最終決定)
しかし、新しい評価シート(案)が出来上がった段階では、
この評価シートの妥当性を把握するために仮評価を実施します。
この最初の段階だけは、本人評価をせずに、上司評価のみ実施することになります。
管理者が2人以上いる場合は、評価決定会議も実施して下さい。
この仮評価を実施して、チェックをしてもらうことは、たった1点です。
〇それは、上司の直感による評価と、
この評価シートによる総合評価が
一致しているかどうかの確認です。
〇具体的には、
全社員に対する直観による評価の順序(評価の高い順に降順)と、
評価シートによる総合評価の順序(評価の高い順に降順)が
一致しているかを確認することです。
今までは、この直感による評価が活用されてきました。
この評価制度が運用されてからは、この直感による評価は不要になります。
管理者の評価結果に対する経営者の調整も、この直感によるものでした。
今までの経験則による直感での評価が大きな間違いだったということはありませんでした。
ただ上手に説明が出来なかったというだけです。
今後は、その説明のときに評価シートを使って説明することになります。
この直感による評価の順序と、
評価シートによる総合評価の順序が
一致すれば妥当性があると判断して良いでしょう。
もちろん、その中でも、直感による評価で認識の違いがあったことに気が付く場合もあります。
手順2.評価シートの見直し
問題は、この両者の評価の順序が一致しなかった場合です。
その場合は、評価シートの見直しが必要になります。
@ 評価要素
A ウエート
B 評価基準
この3点を見直して下さい。
その時のポイントは次の通りです。
@評価要素・・・評価する対象は本当にこれで正しいだろうか。
〇期待成果 ⇒ 期待する成果はこれでよいか。
〇重要業務 ⇒ 成果を上げる重要業務はこれでよいか。
〇知識技術 ⇒ 重要業務を遂行するために必要な知識・技術はこれでよいか
〇勤務態度 ⇒ 守るべき勤務態度はこれでよいか
Aウエート・・・各評価要素の重要度を考えて、このウエート配分は正しいだろうか
B評価基準・・・各評価要素の評価の基準はこの評価尺度で正しいだろうか
手順3.(再度)仮評価の実施
手順2 で見直しされた評価シートで、再度、仮評価を実施します。
検討する内容は、手順1 と同じです。
この一連の作業の中で、新しい評価制度へ移行する場合の経営者の大きな不安を取り除いておきます。
よく聞く話は、「評価制度をつくって評価してみたが、役に立たない」 ということです。
すべての制度づくりにおいて同様のことですが、本当の問題は運用してから発生します。
この驚きを最小限におさえるために、この仮評価は避けては通れません。
このステップでの経営者の気づきは少なからずあります。
お気軽にご相談ください。
近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩