階層別評価シートを作成した企業から、必ずと言っていいほど、ある質問があります。
「うちに合った管理者研修がありますか」
管理者の重要業務・スキルが明らかになり、それを早く修得させたいと思うからです。
私の答えは同じです。
「ありません」
どの研修機関でも行われている 「管理者研修」 は素晴らしいものです。
管理者のスキル向上ということであれば、どの研修会でも大きな失敗はないでしょう。
しかし、御社の現状を全く無視した形での内容となりますので、当然ながら過剰な内容に
なります。
研修会に出席して次のような発言があったら要注意です。
「あるべき管理者像や必要なマネジメントスキルを全て学んだ」
これを聞いたときの経営者の思いが問題です。
「これで我が社の管理者も成長するぞ」
何が問題か分かりますか。
それは、管理者の育成を研修機関に全面的に委任してしまっていることです。
どんな時代になろうとも、どのような環境になろうとも、管理者の教育指導は経営者・経営幹部
の業務です。
その業務代行を第三者に委ねますか。
それであれば、評価も、それをリンクさせる処遇も、その研修機関にお任せすることになります。
こんなことはあり得ません。
「では、どうすればいいの?」
それは、管理者研修を自社内でつくり上げることです。
「毎日忙しいので、そのテキストすらまとめることは難しい」
その通りですね。
1からまとめたら、相当な時間を必要とします。
そこで、1つ提案します。
次の手順で 「自社版管理者研修」 を作ってください。
【手順1】
まず、御社の優秀な管理者の業務内容を調査分析してください。
※管理職用の成長シート(評価シート)があれば、この中の 「重要業務」 を
どのように実施しているのか調べてください。
【手順2】
その調査分析の結果から、我社で重要な業務・スキルが明確になります。
この業務・スキルを学ぶにふさわしい研修を選択して、経営者(または経営幹部)だけが出席
してください。
体系的なマネジメントスキルを学びながら、我が社の管理者の必要なスキルの位置づけも
分かります。
【手順3】
これを、我が社用の管理者研修テキストとして編集します。
最初はA4数ページくらいから始めてください。
そして、決して難しい言葉を使わないことです。
【手順4】
さぁ、実際に管理者研修の開催ですが、問題は、誰が講師になるかです。
それは、経営者・経営幹部 または 優秀な管理者です。
≪効果≫
@ 「優秀な管理者」 が 「何故」 優秀なのか分かります。
A 他の管理者が優秀になれる可能性を感じます。
最後に一言付け加えておきます。
〇管理者研修で優秀な成績を取ったからと言って、優秀な管理者になるかどうかとはあまり
関係ない。
〇管理者研修を受講しなくても、優秀な管理者は御社に必ず存在している。
〇優秀な管理者か、そうではないかの大きな差は、「何とか部下を成長させたい」 という
思いの違いである。
だから、管理者として必要なものを学ぼうとするのである。
お気軽にご相談ください。
近藤経営労務事務所/新・人事制度研究会
社会保険労務士 近藤 昌浩
