まず、本人が達成感を味わう
次に、上司がそれを褒める(認める)
これがあれば、社員は内発的な動機づけができます。
とても簡単で、すぐに今日からでもできます。
「それは無理です」
このようにあなたは考えているかもしれません。
現状では、そう簡単に目標が達成できるわけがないからです。
しかし、
結果指標としての売上高や利益、そして生産性であれば、その通りでしょう。
これは月に1回、褒められるかどうかですから、その可能性は確かに低いです。
ところが、
「毎日、本人が達成感を味わい、上司が褒めることが可能だ」
と言ったら驚きますか。
それがあるのです。
それがプロセス管理というものです。
営業という職種で説明しましょう。
例えば、営業で新規開拓をする場合、一般的には10のステップがあります。
1. 見込客発見
2. 窓口突破
3. 関心喚起
4. 情報収集
5. ニーズ分析
6. 提案シナリオ設計
7. 提案
8. 根回し
9. クロージング
10. 回収
さて、御社のA社員は、今月2社の新規開拓が目標だったとしましょう。
A社員は前月1社も新規開拓ができず、上司には強く叱られました。
「A君、やる気があるのか」
A君がやる気を喪失しているのは確かです。
平均的な社員は、成果が上がらなければ、やる気はなえていくものです。
その社員に対する上司の叱咤激励は、プラスに作用することはほとんど稀です。
逆効果の方が多いと言えます。
では、どうするのか。
このA君を褒めるのです。
「とんでもない」 と思われるかもしれません。
ところが可能なのです。
これは、A社員の営業活動を分析することにより、ハッキリしてきます。
この場合、A社員は見込客を見つけることができないのかもしれません。
「見込客を見つけるのは簡単だよ。そんなの常識だ」 と、
上司は思っても、A社員はわかっていない恐れがあります。
ちょっと、聞いてみましょうか。
上司 「A君、今、見込客はどのくらいあるの」
A社員 「……。ありません」
これでは今月も開拓件数はゼロです。
保証します。
このA社員に、「今月の目標は2社だ」 と言っても無意味です。
まずは、見込客の見つけ方の指導をすることです。
A社員 「良くわかりました。そうやって見つけるのですね」
それから、A社員は嬉々として営業活動を行い、見込客を見つけ出しました。
すでに10件以上も集めました。
このときがチャンスです。
上司 「A君どうだい。見込客は見つけられたかい」
A社員 「ハイ、いま10社ほど収集できました」
この次の上司の一言が、成功・失敗の分かれ目です。
〇 良い上司 「すごいじゃないか。良く集めたね」
「この時期に10社も見込客を見つけるのはすごいことなんだよ」
× 悪い上司 「そうか。でもな、A君。見つけるだけで喜ぶのは早いぞ」
「これからアポ取りだ。頼むぞ、今月の2社」
どちらの部下が育つかは、一目瞭然です。
良い上司に褒められ(認められ)たら、もうA社員は内発的に動機づけられた状態になります。
次の営業ステップである 「窓口突破」 も、やり方を改善する方向へ進むことになります。
新規開拓ができてから 「褒める」 のであれば、今月は2回くらいしか褒める可能性がありません。
しかし、この営業ステップを1つひとつ上がることを 「褒める」 という指導スタイルに変更したら、それは毎日褒めることもできるのです。
そして、この指導を続けることにより、目標設定時も有効になります。
自分の弱い営業ステップはどこであるかわかっています。
それを、どのように改善すれば良いかもわかっています。
次は、そこを改善したらどのくらい成果がでるか、事前にわかるのです。
「やる気で目標設定しろ」
ではなく、
「〇〇を改善できれば、前より高い目標が設定できるぞ」
これがプロセス管理による指導の素晴らしさなのです。
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近藤経営労務事務所/新・人事制度研究会
社会保険労務士 近藤 昌浩