この達成管理の本質は、やるべきことをやり切らせることです。
上司が部下に対して 「まだ今月は売上達成率が60%だ。まだまだ低いぞ」 とやっています。
これは結果管理であり、プロセス管理の対極にあるものです。
有効性はあまりありません。
「売上達成率が低いぞ」 と言われて、部下が 「ハイ、わかりました」 と言って、
売上が達成できるのであれば、こんな楽な指導はありません。
そこで、どのように達成管理をしたら良いのかを営業ステップで説明したいと思います。
今月、社員が新規開拓2社を獲得するためには、次の訪問回数が必要になります。
〇窓口突破 10社×平均2回=20回
〇関心喚起 8社×平均1回= 8回
〇情報収集とニーズ分析 6社×平均2回=12回
〇提案 6社×平均2回=12回
簡単に計算しても合計52回の訪問が必要です。
(このデータは御社の営業確率から算出してください)
そして、毎月・毎週・毎日の訪問計画に落し込みます。
既存顧客へ営業活動しながらの新規開拓活動ですから計画は欠かせません。
今日の訪問先を確認して出発です。
そして、帰ってきた社員が上司へ訪問の報告となります。
上司 「今日、訪問したX社はどうでしたか」
(念のためですが・・・ ここで、「どうでしたか」 と聞いたのは、新規開拓が出来たか
ということではありません。今日の訪問の営業ステップの状況のヒアリングです)
部下 「X社では、窓口で断られてしまいました。うちは結構ですと、受付の担当者に
断られました」
上司 「Y社はどうだ」
部下 「行けませんでした」
ここが指導のコツ、達成管理のコツです。
営業ですから、お客様の所へ訪問しなければ成果は出ません。
計画した訪問は確実に実行させなければ、結果は見えています。
この社員には何を指導したら良いでしょうか。
「忙しいと言い訳するな。決めたことは必ず実行して来い」
これでは十分ではないのです。
「最初の会社(X社)に行って、窓口の担当者に断られた」
このことに問題があるのです。
何も営業に限ったことではありませんが、
上手に出来ることは黙っていてもやりますが、上手に出来ないとやらなくなってしまうのです。
この場合も、その可能性があります。
その確認をしてください。
上司 「君、その窓口担当者になんと挨拶したのかね」
部下 「ハイ、〇〇から参りました、〇〇です。今日は営業のご挨拶にお伺いしました」
これでは100%窓口突破できませんね。
なぜなら、窓口担当者は 「営業」 という言葉に過剰反応するのです。
つまり受付の人は、営業に来た者であれば誰であろうとここを通さない、という役割を持っているのです。
この事実を知りません。
この社員は、新入社員の営業研修をそのままやり続けているのです。
このまま正しい教育をしないで会社訪問を繰り返させていたら、いつかは行ったふりをして、最悪の場合はマンガ喫茶・インターネット喫茶の住人になってしまいます。
指導すべきところは、ここです。
上司 「そうか。元気があっていいな。しかし、そのまま営業を続けてもキーマンに会える
ことはなかろう。営業トークの工夫が必要だね」
と窓口突破の営業トークを教えてやらなければならないのです。
場合によっては、ロールプレイングも必要です。
このロープレは繰り返すことにより場馴れしてきます。
上司 「どうだ」
部下 「段々、分かってきました」
それから再度、挑戦です。
さあ、次の日、その社員が帰ってきました。
上司 「今日はどうだった」
部下 「訪問した3社のうち、2社の担当の方と立ち話ができました」
上司 「良くやったね。どうだ、営業トークの少しの違いで窓口突破できたり、
断られたりするんだよ。営業もおもしろいだろう」
部下 「ハイ、頑張ります」
嬉しそうに、席に戻る社員の後ろ姿が想像つくでしょう。
この社員は次の日、一番で営業所を飛び出して行きました。
そして次の営業ステップの問題を解決することになるのです。
これは、小売店・サービス店・レストランについても全く同じです。
何か行動が改善されると、そのプロセス指標が変わります。
そこに満足感・達成感が生まれ、上司も褒めることにより、やる気へつながっていきます。
これが達成管理の神髄です。
成果の上がっているのは、
〇社員がやるべきこと(重要業務)をやり切っている。
〇管理者がやるべきこと(重要業務)をやり切らせている。
からです。
成果の上がっていないのは、明らかにその逆の場合です。
まずは、御社の成果項目のプロフィットツリーを作成し、プロセス指標を明らかにしてください。
その次に、そのプロセス指標は重要業務とどのような関係(因果関係)になっているのか分析して
ください。
このプロセス指標による指導のサイクルは、もちろん毎日です。
ポイントを押さえた指導ですので、短い時間で済みます。
1人当り平均して10分以内で済むはずです。
これで確実に部下を成長させることができます。
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士 近藤 昌浩