人材育成・組織づくりのヒント / お知らせ
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作成日:2016/11/01
業務用の消耗品販売業における達成管理(事例)  ≪過去編≫



 Y社の過去の達成管理は次の通りでした。


【過去】

毎日のように、M営業部長が電話する大きな声が営業本部の部屋中に響いていました。

  「T所長、今月の新規開拓件数は達成できそうか。 営業会議で、君は 『今月は何とか
  します』 と言ったね。 もう20日だよ。 このままいったら、達成率は60%以下だね。
  H営業所なんか、今月も110%の勢いだ。 君のところは先月より低いということか。
  少しはH営業所から学ぼうと思わないのか。 無理なら無理と言ってくれよ。 そした
  ら、私が営業所へ行って、社員に話をするよ。 どうする。 え、よく聞こえない。 ハッ
  キリ言えよ…」

延々と30分の電話による激励です。



その電話を聞いたT営業所長は、その気持ちを朝礼で、社員にぶつけることになります。

  「みんな、良く聞いてくれ。 今、M部長から電話がありました。 新規開拓の目標達
  成率が全営業所の中で一番悪いそうだ。 このままの達成率で終わらせることは
  できない。 これから1週間、本気で新規開拓に取り組んで欲しい。 月末は忙しい
  ことは分かっている。 しかし、計画的に活動していない君たちに問題があるこ

  は理
解していると思う。 本気で取り組んでくれ」




ー今までどのような達成管理をしていたか、少し付け加えて説明しますー

この会社は、営業社員が1ヵ月に1人2社の新規開拓をすることになっています。
その目標達成のため、実施されていた達成管理は、新規訪問先の名刺をもらって来ることです。



当時は、訪問件数だけを報告させていたが、中には嘘の報告をする社員がいたらしく、訪問した証拠として訪問先企業の担当者の名刺をもらってくることになっていました。

その頃の新規開拓の獲得確率は平均10%位でしたので、社員は毎月、20社の名刺を集めることになります。



その状況での所長の達成管理は次の通りです。

  「S君、今月は名刺何枚集めた?」

これは、何と分かりやすい達成管理でしょう!



ところが、これでもこの達成管理の裏をかく社員がいて、お客様のところへお伺いしては、やたらと 「名刺をください」 と名刺をもらうことだけに専念する社員が出てきたと 言います。

こうなると名刺の枚数はプロセス指標には使えません。



プロセス指標は常に営業社員が自らの行動を振り返る行動指標でもあるのですから、そこに嘘のデータが入ったら自分の行動も振り返ることができません。

特に最近は、競争企業も増え、簡単にお客様も話を聞いてくれなくなりました。



この会社の場合の達成管理の問題点を考えて見ましょう。
あなたはどこに問題があると思いますか。 
私は5点の問題を見つけました。

問題点@
M部長の達成管理が不定期に行われていることです。


時々、M部長は営業所長からの日報に目を通し、問題があると判断し、なおかつ時間があるときに各営業所長へ電話します。

問題点だけを指摘する方法です。
こういう場合は、指導する上での大前提である上司と部下のコミュニケーションが取れなくなります。

実際に、問題のある営業所へ電話すると、
  「申し訳ありません。 所長はもう出掛けました」
という返事があります。

所長が居留守を使うのです。

問題点の指摘は、問題点だと感じている社員には有効ですが、そう思っていない社員には、単に 「またか」 のレベルの受け取られ方で終わりです。

そして、問題点ばかり指摘する指導の仕方では、社員を育てることは難しいです。



問題点A
目標達成率だけの達成管理は、結果管理の最たるものです。


「結果を良くしろ」 というのは指導ではありません。
結果を良くするのは上司の責任です。

部下である所長も目標達成率の60%が何を意味するのかイヤというほど分かっています。
悩んでいるのです。
悩んでいる所長へ、何とかしろと言っても無意味であることに早く気が付くことです。



問題点B
情報の共有化が遅いということです。


すべての目標について同様にいえることですが、目標達成率は遅くとも最初の1週間で結果が見えています。
最初の1週間で目標達成率が60%なら、この傾向は月末まで続きます。

基本的に改善されることはありません。
早く手を打たなければなりません。

その一方で、最初の1週間で目標達成率が100%を超える営業所もあります。
その違いを早く伝えなければなりません。


新規開拓の仕方も業界によって違いはありますが、季節によっても違います。
それをタイムリーに共有化しなければならないのです。

新規開拓は、通常は既存顧客の対応
(既存深耕)をしながら実施することになります。
特別にその時間がある訳ではありません。

そのため、「こうやれば新規が獲得できる」 という方法が明確にならなければ積極的には行動しないものです。
その優れた新規開拓のやり方を目標達成率60%のT所長へ伝えなければなりません。

それはM部長の仕事です。
T所長が 長へ電話で聞いてもほとんど分かりません。



問題点C
T所長も今まで何もしていなかったということではありません。


毎朝、朝礼で各社員から新規開拓獲得件数を報告させていました。
まぁ、この場合1人で1ヵ月2社ですので獲得できない日が多いのは言うまでもありません。

誰かが、「昨日は1社開拓できました」 となると、
全員でパチパチと拍手してその結果を称えます。

所長も嬉しそうに 「よくやった」、 そして 「みんなも頑張れ」 です。
これでは神頼みに近い結果管理ということになります。

訪問先から名刺をもらってくるということを達成管理するためには、
このプロセス指標
(名刺枚数)結果指標(新規開拓件数)の関係について
事前に説明しなければなりません。

そうしないと、次のような社員が出てきます。
  「所長、私はこの営業所で誰よりも一番名刺を集めました。 でも1社も獲得できま
  せん。 エリアが悪いんじゃないですかね」

この場合は、新規顧客へ時間をつくって訪問するというプロセス
(行動)は改善しましたが、その後の営業プロセスが改善されていないことを理解させる必要があります。

名刺を集めて終わりではありません。
名刺が増えれば増えただけ新規開拓件数が増えるのはトップの成果の営業社員のみです。



問題点D
最大の問題は、その月が終わるまで新規開拓件数が何社になるか分からないことです。


  〇社員も
  〇所長も
  〇営業部長も
誰も分からないことです。

最悪の場合、最終日の31日に望みを託したりします。
それで結果が良かったりするとオーライです。

「良かった、良かった」。
これでは経営はできません。
来月の新規開拓件数を保証するものは何もありません。

つまり、現時点で目標とする新規開拓件数を獲得する営業活動のの問題なのかの問題なのか、まったく分からないことを意味しています。

不安な毎日を全員が過ごしていることになります。
この状態を毎日わかるようにしなければなりません。




※ 次回では、このY社がどのように達成管理を変えていったのか≪現在編≫をお話します。





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近藤経営労務事務所
社会保険労務士
近藤 昌浩

 





 

 

 

 

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