目標管理に関するセミナーを行うときには、
次のような質問からスタートするようにしています。
「皆さんの会社では、目標管理やっていますか」
その時によって、かなりのバラツキがあります。
多いときで8割位 。
少ないときでも2割位です。
続けて次の質問をします。
「では、経営目標がある会社は手を上げてください」
なぜか、ためらいながら、ほとんどの経営者の方が手を挙げます。
改めて 「経営目標」 と尋ねられたので、多少の驚きもあるのでしょう。
そのことについて、後でお尋ねすると、次の回答があります。
○経営目標があるのは、当然なので変な事きくなあ、と思ったのです。
○「経営目標は」 と質問されると、本当に自分の会社の目標は経営目標と言えるの
だろうか、と一瞬考えてしまった。
この傾向は、10年間変わりません。
これは何を意味するのでしょうか。
ここで1つの仮説にたどり着きます。
それは、経営目標を達成するために
○詳細に、
あるいは
○社員を含めた討議を経て
経営計画書を作成して経営活動が終了していると誤解している経営者が多い
ということです。
マネジメントサイクルである
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action) の
計画のみで、実行も、評価も、改善も実施していない可能性が浮かび上がってきます。
これを 「絵に描いた餅」 いうことは、皆さん充分ご存じのとおりです。
これでは、経営目標が達成できるとは考えられません。
「昔はうまくいったのに」
それはやはり誤解でしょう。
昔、経営目標が達成できたのは、経営計画を作成したからではありません。
経営環境が良かったから…。
そう思われませんか。
それに気がつかれたら、本当の目標管理を実施しなければなりません。
目標管理は、その経営手段としては、たぐいまれな理念を持ったものです。
活用の方法さえしっかり学んで実行すれば、次の2つの目的を実現できます。
その2つは、
@ 業績を向上させる
A 社員の働き甲斐を高める
です。
この@とAは、別個のものではなく、密接に関係しています。
それは次のとおりです。
「1人ひとりの社員が、自分の仕事に働き甲斐を感じて仕事をするようになれば、
能力は飛躍的に高まります。」
「そのスピードは、『いやいや仕事をする』 『仕事をやらされる』 という状態と
比較すると2〜4倍位の差があると実感しています。」
「そうなれば、社員の成長イコール成果の向上となり、それが結果として会社
全体の業績向上になるのです。」
こう説明すると当たり前ですね。
ある経営戦略で有名な方にお話を伺ったことがありました。
その方のオフレコの話です。
「本当は、私はモチベーションを研究して発表したかった。 企業の成長は社員のやる気を向上させることで95%は決まってしまいます。 経営戦略がどんなに素晴らしいものであったとしても、社員にやる気がなければ紙くず同然です。 これは自明の理でした。 ところが当時、社員の動機づけの分野では有名な先生がいて、私がこれからどんなに研究してもその先生を超えることは難しかったのです。 ナンバー・1 戦略を考えると、その分野を避けた方が良いと判断し、当時の日本では遅れていた経営戦略の分野に特化したのです。 お陰様で日本では名前が知られるようになりました。」
皆さんには、
社員の働き甲斐を高めることの可能な目標管理を実行してもらいたいと思います。
このように目的だけ書くと、すぐに目標管理を始めたいと考えるでしょう。
そうして過去、数多くの企業が目標管理を導入してきました。
しかし、成功事例はあまり表に出てきません。
逆に、失敗事例はしばしば耳にするでしょう。
そこで次回から、目標管理を導入しての問題点を分析することから始めます。
人事制度」 で、社員の成長 と 業績向上 の支援をいたします。
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近藤経営労務事務所/新・人事制度研究会
社会保険労務士 近藤 昌浩