まず、最初に問題としてあげられるのが、
「目標管理をやっているけれど、目標達成できない」
これが目標管理を実施している企業のナンバー・ワンの問題点ですね。
これは、すべての経営手法に共通する点ですが、
あくまで経営手法は手段であり、目的ではないということです。
目標管理は手段である以上、
目標達成させるために発生した問題点を解決しなければなりません。
目標管理を実施さえすれば、目標が達成できるというのはあり得ない話です。
目標管理を実施しながら、一度掲げた目標は必ず達成していく改革が大切なのです。
それ故に、目標管理も他の人事制度同様に
導入さえすれば何の努力もなく成果が上がるという誤解は持たないことです。
自社バージョンの目標管理を導入する、という気持ちでの取り組みが必要です。
2つ目として問題になるのは、管理者が達成管理をしていないということです。
目標管理には、3つの要素があります。
○目標設定
○達成管理
○業績評価
目標設定したら、
次には達成管理となりますが、この達成管理を管理者が行っていないということです。
これは経営者にも責任があります。
何故なら、目標管理を導入している会社では、
経営者が管理者に次のような質問をしているからです。
「A部長、B営業所の達成率はどの位ですか」
こういう聞き方をしています。
A部長の答えは、ワンパターンになります。
「B営業所の目標達成率は〇〇%です」
それ以降、社長とA部長のやり取りは決まった内容です。
社長 「そうか○○%か。少し足りないなあ」
A部長 「ええ、B所長には、もう少しだから頑張れ、と指導しています」
社長 「わかった。頼んだよ。〇〇%だったら何とかなるだろう」
もしかしたら、あなたの会社でも同様の会話をしていませんか。
この結果、管理者は現場でどのような指導をするのかは目に見えています。
A部長 「B所長、もう少しで100%達成できる。君なら出来る。ほんの〇〇%じゃないか。
私は社長に達成できます、と宣言したからね。必ずやってくれよ」
B所長 「わかりました。もう少しですから、何がなんでも100%達成します」
もう、ここまで来ると、言葉の遊びに近いやり取りです。
まったく内容がありません。
にもかかわらず、会話としてまかり通ってしまいます。
ましてやA部長は、これでしっかり指導したつもりになっているのです。
これを管理者への達成管理の丸投げと言います。
わかりやすく説明すると、
達成管理は管理者の仕事だから、「よろしく頼む」 ということです。
これでは部下の成果を上げさせる達成管理とは程遠い内容です。
まずは、トップが管理者への達成管理のやり方を指導しなければなりません。
ところが、これが出来ていません。
難しくてよくわからないから?
いえいえ、そうではないのです。
経営者は達成管理をずーっと自分で工夫してやってきました。
達成管理とは呼んでいなかったかもしれませんが、達成管理をしていました。
その具体的な内容を思い出してください。
それを管理者に指導していなかっただけなのです。
それでは今まで経営者はどのような達成管理をしていたのでしょうか。
3つ目の問題は、部下が目標達成意欲を失っていることです。
それは、社員が自らの目標を、本当に目標と考えていないことに起因します。
いわゆる 「ノルマ」 ですね。
ノルマと考えるか、目標と考えるか、は大きな違いがあります。
ノルマと考える以上、自分の目標ではなく、
上司から与えられた目標ですから本気で実現しようとは考えていません。
「それは困る。この目標は必達の目標です。
これが達成できなければ、我が社は存続できない」
このように経営者が考えても、社員は同様には考えません。
というより、考えられないのです。
会社の存続発展を考えるのは経営者の業務だから、
これを求めること自体おかしなことでしょう。
でも、この目標が社員にとって本音の目標だったらどうでしょう。
死に物狂いで目標達成を目指します。
「死に物狂い」 は、ちょっと大げさですが…。
自分の目標なら達成が楽しみですから、ワクワクしながら目標を目指すでしょう。
それが目標の魅力ですね。
そのワクワクしながら目標を目指す楽しみを失わせる指導をしていないか、
確認してください。
人事制度」 で、社員の成長 と 業績向上 の支援をいたします。
お気軽にご相談ください。
近藤経営労務事務所/新・人事制度研究会
社会保険労務士 近藤 昌浩