目標管理を導入した初年度では社員が高い目標を設定するにもかかわらず、2年目では高い目標を設定しないようになります。
それには3つの問題があります。
【問題その1】
高い目標を設定すると評価と処遇が不利になる
人間は常に自分の可能性を強く信じているものです。
1度や2度の失敗でくじけず前進するのが人間だと思います。
特に、経営者や管理者はその傾向が強いでしょうが、
社員の皆さんも同じでしょう。
だから、何の制約もなく 「あなたの目標は?」 と 尋ねられたら、
通常は目の前がパッと広がるものです。
頭の中には、明るいイメージが浮かんでいるのでしょう。
その目標も1つや2つであることはないでしょう。
種類も多ければ、人生の目標から、今日の目標といった長期・短期の目標まで様々です。
いつの時代でもそうですが、
目標を持った人間だけがその途上での苦労や失敗を乗り越えて成長してきました。
だからこそ、皆さんの会社でも、目標を持つことは大事であると説いているでしょう。
ところが、目標管理を導入してから、目標という言葉は輝きを失いました。
それは、今までの目標管理の運用の仕方に問題があったのです。
例えば、A社員とB社員の比較で見てみましょう。
A社員は、
昨年の実績は100で、目標は110としました。
1年後にA社員は達成率120の実績を上げました。
B社員も
達成率120の実績を上げました。
両社員とも達成率の実績は120です。
この場合、実績による評価であれば、両社員とも同じ評価となるでしょう。
ところが、
目標管理を導入して目標達成率を使用している会社の評価は異なります。
A社員は、目標達成率109.0%
B社員は、目標達成率92.3%
この場合は、当然、A社員の方が評価(褒める)されるでしょうね。
「A君、素晴らしい成果を上げたね」
一方、
B君は、同じ実績を挙げながら評価されることはありません。
それどころか、叱られることもあります。
「B君、もう少しだったね。 何とかならなかったのか」
この評価の仕方を経験したら、社員は目標設定を慎重にならざるを得ません。
社員は誰でも褒められたいのです。
だから、褒められるように行動するのです。
もし、次年度の目標設定時に、
社員がどう考えても低いと思えるような目標を設定したら、
それは会社で作った仕組みや管理の仕方に問題があるからなのです。
それを一方的に叱っても嘆いても仕方のないことです。
目標達成率で評価する限りは、この傾向は続くことになります。
その上、その評価を処遇にリンクさせたら問題は深刻です。
先程の事例で昇給を決めたらどうなるでしょうか。
○ A社員 目標達成率は109.0%で、昇給は6,000円
○ B社員 目標達成率は92.3%で、昇給は4,000円
賞与の場合も同様ですが、
その原資はどのように算出するかを前提に考えなければなりません。
その代表的な考え方が、粗利益額からの算出ですね。
労働分配率の計算式は次のとおりです。
確認しておきましょう。
労働分配率 = 人件費 ÷ 粗利益額(付加価値額) × 100
※ (人件費=現金給与総額+現金給与以外の人件費)
粗利益額が増えない限りは、人件費を増やすことはできません。
社員においては、
粗利益額を増やすことによって、処遇を良くすることが可能になるのです。
それが、目標達成率による評価と、
それに基づく処遇決定によって、間違った方向へ社員を進ませることになります。
1年間の目標とは、1年間の自分の成長の可能性を示す到達点です。
そうであるにもかかわらず、「もっと高い目標にしろ」 と言われない限り高い目標にしないのは、
今までの評価の仕方や処遇の仕方に問題があったのです。
次回は、
【問題その2】 「目標」 とは何かを説明していない
をお送りします。
「人事制度」 で、社員の成長 と 業績向上 の支援をいたします。
お気軽にご相談ください。
近藤経営労務事務所
社会保険労務士・人事コンサルタント 近藤 昌浩

作成日:2017/10/16
【問題その1】 高い目標を設定すると評価と処遇が不利になる
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