目標管理を導入した初年度では社員が高い目標を設定するにもかかわらず、
2年目では高い目標を設定しないようになります。
それには3つの問題があります。
今回は、そのうち2つ目の問題について考えてみましょう。
【問題その2】
「目標」 とは何かを説明していない
社員一人ひとりには、それぞれの目指すべき 「固有の人生」 があります。
その人生が同じであることはありません。
その目指すべき人生の目的が明確にならない限り、
人生の目標は設定できないのです。
管理者研修の中で、しばしば出てくる 「石切り職人」 の寓話があります。
ある旅人が3人の石切り職人に尋ねます。
「あなたは何をしているのですか」
そうすると、最初の石切り職人は答えました。
「私はこの仕事で生活の糧を得ているのです」
2人目の石切り職人は、次のように答えました。
「私は、立派な石切り職人の仕事をしているのです」
そして、3人目の石切り職人は、こう答えたのです。
「私は、立派な教会を立てているのです」
このように石切り職人たちの仕事に対する考え方は三人三様です。
社員にもそれぞれの人生観があり、それを否定することはできません。
しかし、自分にとって素晴らしい人生とはどんなものであるかを考えさせることは大切です。
なぜなら、
その素晴らしいと考えている人生を獲得する場所の1つが会社であるからです。
会社で人生のすべてが決まる訳ではありませんが、その割合は大きいでしょう。
そのため、自分の望む人生へ進んでいるかどうかを判断するために目標があるのです。
その1つが、会社の中で設定する目標なのです。
営業職なら営業職としての目標
販売職なら販売職としての目標
生産職なら生産職としての目標・・・
つまり職種の違いによる目標ですね。
そして、一般職・中堅職・専門職・管理職というように階層別の目標もあります。
この立場の違いによる目標も、
その社員の人生の目標から引き寄せて
「今年はここまで」 という目標を設定しなければならないのです。
「私は、このくらいで結構です」 と自らの目標を低く設定する社員がいたら、
本当に自分の人生はそれで良いのかと、本当の意味での叱咤激励がなければなりません。
「会社全体の目標を達成するためには、あなたの目標は…」 というような意味では毛頭ありません。
そこには、
会社の中で、素晴らしい社員に成長して欲しいという熱い思いがなければならないでしょう。
それを具体的に表現したのが評価シートです。
管理職や専門職の評価シートが、
「あなたは、この会社でここまで成長できる」 ことを証明しているのです。
ここまで、準備が整ってから、
「あなたの今年の目標は…」 と問わなければならないのです。
次回は、
【問題その3】 目標達成する具体的な方法がわからない
をお届けします
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近藤経営労務事務所
社会保険労務士・人事コンサルタント 近藤 昌浩