人材育成・組織づくりのヒント / お知らせ
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作成日:2018/03/01
人事制度を運用するうえでの残業の問題



 人事制度の運用を始めると処遇(賞与・昇給)を決定することになりますが、
残業の問題が複雑に絡んできます。

例えば、賞与原資を次の計算式で算出するとします。

  ・賞与原資=対象期間の(目標労働分配率−実績労働分配率)×付加価値

社員の仕事の生産性が高くなれば、獲得する付加価値は増えます。



これは対象期間中の労働分配率が改善することになります。
その結果として、賞与原資が増えることになります。

ところが、次のような意見があります。

  「付加価値は増えたのですが労働分配率が改善していません。それは残業
    手当がそれ以上に増えたからです」

更には次のような話もあります。

  「うちは、付加価値も増えていないのに、残業手当だけは増えている。そのた
    め、賞与原資は半減している」



そうですね。

人件費の中には毎月の残業手当も入っていますから、
付加価値も増えずに残業手当が増えていたら、労働分配率は悪化します。

もっとも、この事実は毎月全社員に確認できるようにしておくべきです。

  「今月の賞与原資は〇〇になりました」

賞与原資は毎月の分の累計であることを、
社員の皆さんに理解してもらうことは大切でしょう。



発表する内容を例示すれば、次のとおりです。

   【5月】   売上高         〇〇〇億円

          粗利益         〇〇〇億円

          目標労働分配率    〇〇%

          実績労働分配率    〇〇%

          賞与原資           〇〇万円

このままストレートに発表できる会社と、
その発表に工夫が必要な会社があると思います。



しかし、この発表の仕方をすると、
全社員が会社の業績に関心を持つようになることに例外はありません。

ところが、製造業では解決できない問題を抱えています。

それは、製造部門の社員には、正規の計算で残業手当を支給しているが、
営業部門の社員には、同じように残業手当を支給していないという一般的な傾向があるのです。

そのため、同じ会社に入社した同期の社員で、
同じ残業時間を働いたとしても月次賃金が違うということになります。



このまま同じ評価制度で評価し、賞与を支給すると、
製造部門の社員の年収が営業部門の社員の年収より多くなる傾向があるということです。

会社によって、その点さまざまな賞与の調整をしていますが、まさか、

  「営業社員には、正しい計算で残業手当を支給していないので、
   その分を賞与で加算しています」

と、公式に公表することはできません。



同じ会社の中でも、この残業の問題は複雑に入り組んでいます。

この残業手当について、
社員はどのように考え行動しているのかを知っておくことは重要ですので、確認しておきます。



(1)ちゃっかり(残業)タイプ

残業することによって発生する残業手当を計算しているタイプです。

  「1日2時間、月間40時間残業すると残業手当は〇万円になる」

こうなると、この残業手当は、社員にとっては毎月の賃金の一部と考えていますので、
本来であれば、定時に終わる仕事も残業にする工夫? をするようになります。




会社にとって問題のある残業であるばかりか、社員本人もダメにする結果になります。

   「いつでも快く残業を引き受けてくれる」

そう考える会社もあるかもしれませんが、喜んでばかりもいられません。

ある会社の生産性向上の支援をしたときに、生産性向上に反対したのは、
こういうタイプの社員でした。

  「生産性を向上する改善に、一生懸命に取り組んで、
   残業手当が減るのは納得できない」 と、言うのです。



そのためにも、評価要素の中に全ての職種において 「生産性向上」 を入れることを忘れないことです。

その際に、「生産性が向上することは、あなたの評価を高めることになる」 ということを社員にしっかり教える必要性があります。

結局、社員は自分のために頑張るのです。
これは真理です。

そして、その結果が会社のためになるのです。
「会社のために頑張れ」 という言葉を強制してはいけません。



(2)うっかり(残業)タイプ

残業するつもりではなかった。
しかし、気がついてみたら残業になっていた。

自分としては、残業と考えていなかったのに、残業手当がついていた。

  「折角だから、このままこの手当は頂きます」

  「そうか、終業時間を超えて仕事をすると残業手当がつくのか」



変なことに気付いて、おかしな方向にスイッチが入ってしまいます。
このままいくと、早晩に、しっかりタイプに変化することになります。

それを防ぐためには、
残業は業務命令によって発生することを指導しなければなりません。

管理者にも、そのことの教育が必要です。



(3)しっかり(残業)タイプ

模範となるタイプです。

常に仕事の仕方の改善をしながらも、1日の仕事の量を把握し、
上司に報告し、その上で残業指示に基づいて残業するタイプです。

全社員がこのタイプであれば、付加価値を生まない残業は発生しないでしょう。
このタイプの残業だけにしていくことを工夫しなければなりません。

間違っても、「無駄な残業は無くせ」 とは言えないのがこの残業問題です。
どんなにムダな残業に思えたとしても、じっくり、この残業の問題を解決しましょう。





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近藤経営労務事務所
社会保険労務士・人事コンサルタント
近藤 昌浩

 


 

 

 

 

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