人事労務ニュース
人事労務ニュース

文書作成日:2024/05/14

注意が必要な36協定の「1ヶ月の時間数」の考え方

 労働基準法では、従業員に対し、1日8時間、1週40時間を超えて働かせてはならないとしています(法定労働時間)。また、休日については、毎週少なくとも1日与えなければならないとしています(法定休日)。この法定労働時間を超え、または法定休日に働かせる場合には、事前に「時間外労働・休日労働に関する協定」(以下、「36協定」という)を締結し、労働基準監督署に届出する必要があります。以下では、この36協定で定める時間外労働・休日労働の時間数についてとり上げます。
※本記事では、法定休日の労働のことを「休日労働」と呼びます。

[1]36協定で定める時間
 36協定には、以下の通り一般条項と特別条項があります。

[一般条項]
 36協定では時間外労働や休日労働の時間数を定めます。時間外労働については、以下の通り、上限の時間数が決まっています。

 1ヶ月:45時間(42時間)
 1年:360時間(年320時間)
※()内は1年単位の変形労働時間制の場合

[特別条項]
 一般条項の上限を超えて、一時的または突発的に時間外労働や休日労働等を命じなければならないことがあります。このようなときを想定し、一般条項を超える時間数を、特別条項として定めることができます。なお、特別条項にも以下の通り、上限の時間数が設けられています。

 1ヶ月:100時間未満(2〜6ヶ月平均で80時間以内)
 1年:720時間以内

 さらに特別条項には、この上限の時間数のほか、1年について6ヶ月(6回)以内という回数の上限も設けられています。

[2]一般条項と特別条項の違い
 一般条項の1ヶ月の時間数は、時間外労働の時間数のみをカウントすることになっています。これに対し、特別条項の1ヶ月の時間数は、時間外労働に加え、休日労働の時間数もカウントすることになっています(以下の例参照)。

[36協定における1ヶ月の時間数の考え方]

●一般条項
 時間外労働:30時間
 →この時間数のみで判断し、30時間となる
 休日労働:24時間
 →カウントの対象にならない

●特別条項
 時間外労働:50時間
 休日労働:24時間
 →両方の時間数をカウントし、74時間となる

 このため、時間外労働と同時に休日労働も命じているときは、特別条項を適用する段階になって、想定した時間数を超える1ヶ月の時間数となっていることがあります。そのため、一般条項を適用しているときも休日労働の時間数を意識する必要があります。

 各種情報から1ヶ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場に対して、労働基準監督署が指導を実施する方向となっています。特別条項の1ヶ月の時間数の上限は100時間未満となっていますが、特別条項を設けるときには、これを上限と考えるのではなく、特別条項の位置づけも念頭におき、実効性のある時間外労働等の時間数の削減も考える必要があります。

■参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

メールアドレスをご入力ください。
無料メルマガ
強い会社を作る人事・労務情報
   
バックナンバー
powered by まぐまぐトップページへ
   他では得られない情報を、
  あなただけにご提供します。

最新の内容は、こちらをクリック! 
「まぐまぐ!」 のメールマガジンで、
「強い会社を作る人事・労務情報」
を毎月2回 提供しています。




無料メルマガ

無料メルマガの登録
「まぐまぐ!」 のメールマガジンで、

「強い会社を作る人事・労務情報」
を毎月2回 提供しています。





マネジメントの役割が変わった
時代に合ったマネジメント
組織風土を改善するには
好ましい職場環境にしましょう
経営課題解決の目標管理
個人目標を考えることから始める
 採用の失敗、どうする?
採用面接での人物判断は難しい
 けしからん大きな狼
デフレ不況から脱却するヒント
優秀な社員とは?
我が社の優秀な社員像を明確に
1億円のアイディア
多忙で重要業務がおろそかに
時間外労働に必要な手続き
36協定を届出ていますか?
未払い残業代請求の問題
残業代を請求される企業が急増
ホーム・介護事業皆様へ

通常の会社とは少し違う難しさ
労働・社会保険の基礎知識
入社・退職・病気・労災の手続き
マネジメント力で定着率アップ
定着率はマネジメント力が左右

社員の成長の分析の仕方
社員を育成する基になります
人財成長事業拡大バランス
社員の成長が組織の拡大に
労働分配率を改善する
1人当りの収益拡大の分析
 年次有給休暇の計画的付与
以外に会社が知らないメリット
管理者の昇進・昇格は?
昇進・昇格基準をオープンに
人件費総額管理を始めよう
全社員で昇給・賞与原資を確認
どんな成長を目指すのか
ミッションを見直す時期

お問合せ
社会保険労務士 近藤昌浩
近藤経営労務事務所
〒818-0072
福岡県太宰府市青山2丁目16番10号
 
TEL: 092-920-2108
 FAX: 092-920-2109
メールでのお問合せ