経営課題解決の管理方法として、目標管理を上手に導入・運用する
経営課題解決の管理方法として、目標管理を上手に導入・運用する

  まず、社員にとっての目標を考えることから始めます。
社員の持っている(人生)目標の1つに 「収入拡大」 があります。

ほとんどの社員は賃金を増やしたいと考えていますが、その額は今年1年間でどのくらい増やしたいと考えているか、ご存知でしょうか。

例えば、
「できるだけ多く」 ⇒これは目標とは言いません。
「思い」 「願い」 「願望」 というだけで、目標ではありません。

具体的な金額を聞いて欲しいのです。
そして、その金額を聞いたら、そのために何をしたら良いかを考えさせてください。



会社とは、社員の夢や目標を実現させる場です。
収入拡大の夢も、ここで実現させることができます。

会社はその場を提供しているのです。
この場所を大いに活用して欲しいものです。

「この場所を利用して、その目標を達成させる」
この考えにより、社員は自主的に自己統制し実現していきます。



営業部門であれば、まずは売上です。
現在の売上を基に、目標とする売上を設定します。

その売上を達成したときに処遇(賃金)を向上させます。
その仕組みがあれば誰もが頑張れます。

ごく自然の成り行きです。
ただし、ここで注意しなければならないのは達成率のみで処遇は決められないと
いうことです。



例えば、AさんとBさんの2人の社員がいるとします。
両者とも、過去の実績は100でした。

今回の目標設定に当たり、Aさんは150とし、Bさんは120としました。
1年後の結果は、Aさんは120で、Bさんも120となりました。

目標達成率は、Aさん80%、Bさん100%です。
実績は同じ120なのに、評価はBさんの方が高くなってしまいます。

これで処遇を決めてしまったら、次年度から全員が目標を下げてしまうことになります。
なぜならば、その方が処遇は良くなるということが分かったからです。



こういうのを仕組みが悪いというのです。
仕組みが良ければ、「やれ」 と怒鳴らなくても社員が考えた通りに成長し、
活躍するようになります。

売上高を評価する場合には3つの考え方があります。
 @ 目標売上高達成率
 A 売上高昨年対比伸長率
 B 売上高絶対額

これをバランス良く組み合わせる必要があります。
どれか1つだけの考え方を採用するのであれば B が基本となります。



それでは、目標設定した意味がないではないかという疑問が残るかもしれません。
この営業部門であれば、売上絶対額を実現したときの評価の仕方が明瞭になって
いればいいのです。

120を売上げる営業社員と150を売上げる営業社員では、評価が違うのは誰も疑問
はありません。
不満はないでしょう。
たとえ、その評価に基づき賞与が決められたとしても反対のしようがありません。



自分の望む処遇を得るために120を目標にするか、150を目標にするか、
それは自分で決めることです。

当然ながら150を目指す方がチャレンジ度は高いのですから、現状のやり方の改善
度合は大きくなります。

しかし、自分で決めた目標だから自分でも納得し、“やるぞ” という心境です。
我が社にとっても、これでやれば賃金原資を獲得できるのですから安心できます。

だから、評価制度や賃金制度をオープンにするよう勧めているのです。
そして、社員が自分で電卓を叩いて計算できるくらい分かりやすくしなければなりません。



それでは何故、個々の社員ごとに期首に目標設定させるのでしょうか。
それは、目標を設定することによって、本人の課題を見つけるために利用するからです。

もし、目標が昨年の実績と同じなら、その部下には何ら課題はないということになります。
環境が同じであれば、昨年と同じことをしていれば実現できるのですから。

 1.社員の課題
   目標売上高を実現するためには何が課題としてあるか

 2.上司の役割
   部下の課題の解決策を支援・指導・アドバイスする



課題とは、現状と目標のギャップから導き出されるものです。
現状の仕事の仕方であれば同じ成果しか上げられませんが、
目標を実現する仕事の仕方をすれば目標達成できることを意味しています。

それは、現在の仕事の仕方の改善や改革を意味します。
つまり、毎日の仕事の中で、目標を達成した時と現在の仕事の差を解消するための
解決策を検討するのです。

上司として部下の課題解決策は社員によって様々であり、同じであることは少ない
でしょう。



しかし、上司にとってそれを解決するための方法は次の4つに分類できます。
 1.凡事徹底・・・・・・当たり前のことを当たり前のように実施させる
 2.仕組みづくり ・・・マニュアルや様々なツール等を作成する
 3.教育訓練・・・・・・同じような課題を解決するために教育訓練を実施する
 4.個別指導・・・・・・教育訓練で解決できない部下を個別に指導する

この4つの方法で指導することになります。
ここまでやって目標設定が出来たということです。



もちろん、
 目標設定  →  課題の明確化  →  解決策の検討
は、まず部下がまとめるように指導することが必要です。

間違っても上司がまとめないことです。
ここのスタート時点から部下に考えさせるようにしなければなりません。

そして、部下から上司に指導を依頼させるのです。
 「わたし自身の目標達成のためには、ぜひ、貴方(上司)の指導・支援・アドバイスが
  必要です。よろしくお願いします」
と言わせることです。



この部分を最初にやっておかないから、上司と部下のコミュニケーションは一方的に
なってしまうし、好ましい関係はいつになってもできません。

部下の目標達成のために上司がいるという基本的関係を確認して下さい。
もっとも、それだけの管理能力が管理者にあるかどうかのチェックは必要になります。

優秀な管理者の部下は、高い目標を設定する傾向にあります。
上司の適切な指導が常にあることを経験上で体験しているからです。



ところが、管理能力の低い管理者の部下は、どうしても実現の可能性を持てず低い
目標設定になってしまいます。

なぜならば、指導せず 「頑張れ」 と言うだけですから、これが現実です。
ほとんどの会社は目標設定したら、「あとは自分で考えてやりなさい」 となっています。

このような状態では、まず実現は不可能でしょう。
考えさせ、次に不足しているところを指導するのです。



これはマネジメントの時間を効率的に使用することのみならず、効果的な指導の仕方
にもなります。

そのため、部下から考え方を導き出すコーチングスキルが必要になるので、上司は
そのスキル習得が重要なポイントです。

ここまでまとめ上がったら、次に行動計画を作成します。
どんな計画もそうですが、アクションプランを作成しなければ、すべて絵に描いた餅です。



不思議ですが、具体的にいつ何をするのかを決めると目標達成の可能性がグンと身近
になってきます。

ここで確認しておきたいことは、上司が厳しく指導するのは部下のためであるということです。
上司が部下の指導の際に、部下の嘆きの言葉でよく聞かれるのは 「なぜ、こんなに厳しい
のだろう」 です。

この時の上司の答えは 「会社のため」 または 「目標達成のため」 ということであり、
本質的な解答になっていません。



正しい答えは、「あなたのため」 であり、「あなたの目標実現(賃金等の処遇向上)のため」
なのです。
つまり、部下の処遇向上を心より願うからこそ厳しくなるのです。

上司にとって部下はかわいいものです。
その心境は親心に近いかもしれません。

だから厳しくない上司は、本当は上司ではないということでもあります。
そのためには、まず、目標達成によって部下がどのように処遇改善できるのかを確認して
おくことが重要です。



会社のためにというのは建前で、自分のためになら誰しもが頑張れます。
その説明を目標設定時に上司から説明できるようにします。

そのために評価制度や処遇制度(賃金制度や昇進・昇格制度)を整備しておくのです。
オープンにするということは、このためです。

「頑張れば給与は後からついてくる」 仕組みづくりと、その説明は絶対条件といえます。



目標管理制度の支援をいたします。
お気軽にご連絡ください。

社会保険労務士 近藤 昌浩





 

 

 

 

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