会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2024/12/12
過半数代表者を選出する際の注意点

坂本工業では、次年度の36協定の締結や育児・介護休業規程の改定に伴う意見聴取、育児・介護休業規程にかかる労使協定の締結を予定している。そこで、過半数代表者を選出する際の注意点を確認することとした。

 今日は、過半数代表者の選任について相談があります。実は、ここ数年、同じ従業員に過半数代表者をお願いしていましたが、次回から見直したいと思っています。

 近年、過半数代表者の重要性が再認識され、労働基準監督署の監督指導などでも、適正な選出手続きが強く求められるようになっていますので、見直しをされるというのは素晴らしいことです。過半数労働組合がない事業場での過半数代表者の選出手続きにおけるポイントは以下の3点です。

  1. 労働者の過半数を代表していること
  2. 選出する目的を明らかにした上で、すべての労働者が参加した民主的な手続きがとられていること
  3. 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと

 まず、1については、事業場のすべての従業員の過半数を代表している必要があり、この従業員には正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトなども含まれます。

 管理監督者も含まれるのでしょうか?

 はい、管理監督者は、上記3のとおり、過半数代表者になることはできませんが、労働者ではあるため過半数代表者を選出する母数となる労働者の数には含まれます。また、細かい話ですが、育児休業などの休業者も母数となる労働者の数に含まれます。

 そうなのですね。当社の休職者・休業者の人数は少ないですが、母数となる労働者の数を正確に把握しておくことは重要ですね。

 次に2については、36協定の締結、改定した育児・介護休業規程の意見聴取、育児・介護休業規程にかかる労使協定の締結を行うためなど、選出する目的を明らかにして選出することが必要です。

 今回のように、選出する目的が複数ある場合は、それを網羅しておく必要があるということですね。

 そうですね。2については、このほかに、すべての労働者が選出手続きに参加できるようにする必要があります。 次に3については、そもそも管理監督者とは労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者のことをいうため、従業員の代表としては不適切な立場となります。そのため、管理監督者に該当しない従業員が過半数代表者になっている必要があります。

 実際、どのような形で選出を行うのがスムーズでしょうか?

 例えば、あらかじめ立候補者を募っておき、全員が集まる朝礼や会議の場で、どの立候補者が良いか、立候補者が1人のときにはこの立候補者で良いかを投票・確認してもらいます。そのときには、選出する目的を伝え、挙手をしてもらうという形にするとよいでしょう。
また、最近では、候補者を募る段階から投票まで、インターネット上で行う事例も増えています。特に従業員が一同に集まる機会がないような会社では有効な方法ですね。

 いろいろな方法があるのですね。当社では、全員参加の朝礼を行っていますので、そこで選出するのが良さそうです。進めるうえで分からないことが出てきたら、連絡します。

>>次回に続く



 就業規則については従業員へ周知しているかと思いますが、案外知られていないことに36協定にも周知が義務付けられていることです。36協定のほかにも、比較的多くの企業で締結されている「賃金控除に関する協定」や、「時間単位の年次有給休暇に関する協定」、労働安全衛生法に基づく衛生委員会の議事の概要についても周知が必要です。この機会に、周知が必要な労使協定等について、周知ができているかを確認し、問題があれば改善しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「「36協定」を締結する際は、労働者の過半数で組織する労働組合労働者の過半数を代表する者との、書面による協定をしてください。
確かめよう労働条件「使用者には、労働者に対して36協定や法令等の周知義務があると聞きました。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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