会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2026/3/12
退職後に引き続き傷病手当金を受給する際の注意点

坂本工業では、今月末、私傷病により退職する従業員がいる。現在、傷病手当金を受給していることから、退職後も引き続き受給できるか確認することにした。

 私傷病で休職している従業員から、復帰の目途が立たないことから、今月末で退職したいという連絡がありました。現在、傷病手当金を受給しており、引き続き傷病手当金が受給できるのか本人が心配していたのですが、このまま受給できるのでしょうか?

 既に傷病手当金を受給している方が、退職後も引き続き受給するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること
  2. 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること

 10年以上勤務していた従業員ですので、1年以上の被保険者期間は満たしています。もう一つの資格喪失時の条件はどのような意味でしょうか?

 そもそも傷病手当金を受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 病気やケガで療養中であること
  2. 仕事に就くことができないこと(労務不能)
  3. 4日以上仕事を休んでいること
  4. 給与の一部または全部が支払われていないこと

 退職日に傷病手当金を受けているか、これらの条件を満たし傷病手当金を受けることができる状態にあるか、という意味になります。

 退職後も引き続き傷病手当金を受ける場合は、退職日にこれらの条件を満たしている必要があるということですね。

 はい。具体的には退職日に荷物整理や引継ぎのために出勤するということがありますが、退職日に出勤してしまうと、2の「仕事に就くことができないこと」の条件を満たさず、退職後に傷病手当金を受けることができなくなります。

 そうなのですね。本人が会社に迷惑を掛けないようにと、無理をして出勤するようなケースが想定されますが、注意が必要ですね。

 その通りです。これは医師が労務不能と証明していたとしても、仕事ができる状態になったと判断されるからです。

 なるほど。今回の従業員は、既に傷病手当金を受給していますが、傷病手当金を受給しておらず年次有給休暇(以下、「年休」という)を取得していた場合で、退職となったときはどのような取扱いになるのでしょうか?

 連続した3日間のいわゆる待期期間には年休や公休日も含んでカウントするため、例えば退職日の前日まで連続して年休で3日間休み、この待期期間3日に加えて連続した4日目(退職日)も年休を取得したのであれば、退職後に傷病手当金を受給することができます。ちなみに、4日目は年休で給与が支払われているため、通常、傷病手当金は支給されないことになります。

 傷病手当金を受給できる権利はあるけど、年休を取得することで給与が支払われるため、傷病手当金を受給できないということですね。

 はい、そのとおりです。退職となる従業員にとって、この傷病手当金は重要な収入源ですので、退職日に出勤して受給できなくなったり、退職時に受給していなかったために受給できないと勘違いして、従業員に誤った説明をしたりしないようにしたいですね。

 総務担当者としては、情報を正しく理解しておくことが求められますね。

>>次回に続く



 私傷病による休職で退職した場合、退職後もしばらくの間、働くことができないことがあります。その際には、雇用保険の基本手当について延長申請をすることができます。通常の基本手当の受給期間は退職日の翌日から1年間ですが、基本手当は働く意思と能力があることが前提になっているため、病気等で働けない状態が続くのであれば延長の手続きをしておくことでその期間を最大4年間まで延長することができます。
 この延長の手続きは退職日の翌日から30日経過した後となり、申請はなるべく早く行うことをお勧めしますが、延長後の受給期間の最後の日までであれば、申請が可能です。

■参考リンク
協会けんぽ「傷病手当金について」
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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