会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2024/04/11
労働基準監督署の役割と労働局との連携

厚生労働省は毎年、地方労働行政運営方針を策定し、公表している。そこで、この内容も踏まえ、あらためて労働基準監督署の役割などについて、説明することにした。

 新年度が始まりました。行政機関も多くは年度単位で業務が進められているので、厚生労働省が策定した地方労働行政運営方針を踏まえて、都道府県労働局が事情に即した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、各労働基準監督署では、それをもとに計画的な行政運営を行うこととしています。

 運営方針に従って運営されているのですね。

 はい、そうなのです。そこで今日は、そもそも労働基準監督署がどのような役割を持っているのか、確認したいと思います。

 労働基準監督署の役割ですか。

 まずイメージするのは、労働基準法などの関係法令に関する各種届出の受付を行ったり、これに関する相談対応に当たったり、また、監督指導を行う役所ということではないでしょうか。

 確かに36協定届や就業規則の提出先だったり、労働基準監督官が会社にきて労働時間や賃金に関していろいろ指導を受けたりする、といったイメージがあります。実は少し怖い印象があります。一方では、労災保険の窓口というイメージもあります。

 そうですね。先ほど、私がお伝えした内容は「監督課」の説明でしたが、業務上においてケガをした場合に労災保険給付などを行う「労災課」もあります。これに加えて、機械や設備の設置に係る届出の審査や、職場の安全や健康の確保に関する技術的な指導を行う「安全衛生課」もあります。労災事故が起こった事業場へ立ち入りを行い、事故が発生した危険な場所に関する指導も担当しています。

 幅広い業務をしているのですね。

 そういえば、先日、同業者が集まる会合で、同一労働同一賃金に関する調査があったという話を聞きました。これも労働基準監督官が行っているのでしょうか。また、今年度も同様の動きがあるのですか。

 同一労働同一賃金は、パートタイム・有期雇用労働法と労働者派遣法が根拠であるため、これらの法律を担当する役所は都道府県労働局になります。ただし、労働局と労働基準監督署が連携し、2023年11月からは、「正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の格差の是正に向けて、同一労働・同一賃金制について、労働基準監督署による調査結果を踏まえ、基本給・賞与の差の根拠の説明が不十分な企業等について、文書で指導を行い、経営者に対応を求めるなど、その施行を徹底する」取扱いとしています。

 なるほど、そのような動きがあるのですね。

 労働局は都道府県ごとに置かれているので47ヶ所ですが、労働基準監督署は全国に321ヶ所あるため、様々な身近な相談が寄せられることになります。そのため、今後は労働基準監督署で同一労働同一賃金に関する課題に係る事実確認が行われ、労働局と連携していくという流れになるようです。

 なるほど、労働基準監督署と労働局との連携は強化されているのですね。労働基準監督署の調査があった際には、事前に相談しますね。


※労働基準監督署の組織は、一般的な労働基準監督署の組織を前提に解説しています。

>>次回に続く



 2024年4月から、建設業、トラック・バス・タクシードライバー、医師について、時間外労働の上限規制が適用となりましたが、この中で、建設業とトラック・バス・タクシードライバーについては、厚生労働省と国土交通省が連携をとることになっています。例えば、建設業の人材確保・育成において、厚生労働省と国土交通省とが連携して関係施策を実施することとしています。

■参考リンク
厚生労働省「労働基準について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。



 

メールアドレスをご入力ください。
無料メルマガ
強い会社を作る人事・労務情報
   
バックナンバー
powered by まぐまぐトップページへ
   他では得られない情報を、
  あなただけにご提供します。

最新の内容は、こちらをクリック! 
「まぐまぐ!」 のメールマガジンで、
「強い会社を作る人事・労務情報」
を毎月2回 提供しています。




無料メルマガ

無料メルマガの登録
「まぐまぐ!」 のメールマガジンで、

「強い会社を作る人事・労務情報」
を毎月2回 提供しています。





マネジメントの役割が変わった
時代に合ったマネジメント
組織風土を改善するには
好ましい職場環境にしましょう
経営課題解決の目標管理
個人目標を考えることから始める
 採用の失敗、どうする?
採用面接での人物判断は難しい
 けしからん大きな狼
デフレ不況から脱却するヒント
優秀な社員とは?
我が社の優秀な社員像を明確に
1億円のアイディア
多忙で重要業務がおろそかに
時間外労働に必要な手続き
36協定を届出ていますか?
未払い残業代請求の問題
残業代を請求される企業が急増
ホーム・介護事業皆様へ

通常の会社とは少し違う難しさ
労働・社会保険の基礎知識
入社・退職・病気・労災の手続き
マネジメント力で定着率アップ
定着率はマネジメント力が左右

社員の成長の分析の仕方
社員を育成する基になります
人財成長事業拡大バランス
社員の成長が組織の拡大に
労働分配率を改善する
1人当りの収益拡大の分析
 年次有給休暇の計画的付与
以外に会社が知らないメリット
管理者の昇進・昇格は?
昇進・昇格基準をオープンに
人件費総額管理を始めよう
全社員で昇給・賞与原資を確認
どんな成長を目指すのか
ミッションを見直す時期

お問合せ
社会保険労務士 近藤昌浩
近藤経営労務事務所
〒818-0072
福岡県太宰府市青山2丁目16番10号
 
TEL: 092-920-2108
 FAX: 092-920-2109
メールでのお問合せ